第1話 休日の公園への応援コメント
金時まめさん、作品読ませていただきました!
夏の入り口の公園を歩いているような、心地よい物語ですね。
日焼けしたくないけれど暑さに負けてカーディガンを脱いでしまう葛藤や、「自分との会話」を楽しみながらのひとり歩きなど、多くの人が日常で感じる「小さな心の揺れ」が丁寧に描かれていて、とても共感できました。
特に、「焼きたくない」と「暑い」の真剣勝負で、前者が勝った試しがないという一節には、思わずクスリとしてしまいました。
心理や思考の描写は小説ならではの表現だけに、小説の魅力を見せて頂きました。
それから、買い物のスタイルの描写がすごく丁寧で素敵ですね。
お目当てじゃない柴犬の本を「これだ!」って直感で買っちゃう矛盾とか、扇子を選ぶときの「風の柔らかさ」や「重さ」を確かめるこだわりとか。金時さんの綴る言葉から、主人公が一つひとつのモノや時間を大切にしているのが伝わってきて、読んでいて温かい気持ちになりました。
思えば、ここ何年も書店を歩くことをしていないと思いました。書店の中を散策し、思わず手にとってしまう。本屋は、そんな楽しみのある場所だったのを思い出しました。
個人的に一番好きだったのは、「黒いさん」と「白いさん」のやり取りです!
伝承では人には守護天使という存在がいるとされます。守護天使は最下位の9番目の階級に属する存在で護衛、後見役、奉仕などを行うとされる。
人一人に、1人の守護天使とされますが、初期キリスト教のいくつかの文献(『エルマスの牧者』など)では2人の天使でした。一人は右手にあって善に導き、一人は左手にあって悪に導くとされる。
自分の中の葛藤をあんなふうに擬人化して描くと、独り言よりもずっと賑やかで楽しくなりますね。最後にお腹の音に負けて、白いさんが真っ赤になって旗を降ろしちゃうシーンは、可愛い。
公園の描写も、五感に響くというか……。
都会の喧騒が遠くで鳴っていて、近くでは鳥の声がする。そんな「静かな賑やかさ」の表現がとても上手で、読んでいてリラックスできました。
……で、最後の「――のだが。」ですよ!
あんなに美味しそうなランチを想像して、足取り軽く向かったのに、一体何が起きたんですか!?(笑)
お店が休みだったのか、大行列だったのか、あるいはもっと別の何かが……?
すごく気になるところで終わっているので、もう完全に「次が読みたすぎる!」という読者心理にさせられちゃいました。
この続き、どんな「ご褒美時間」が待っている(あるいは待っていない?)のか、楽しみにしていますね!
作者からの返信
kou様
『空の拾い方』をお読みくださり、そして、こんなにも丁寧で温かなコメントを届けてくださって、本当にありがとうございます。
第一話の中を主人公と一緒に歩いてくださったことが伝わるお言葉の数々を、嬉しくて何度も読み返しました。
「焼きたくない」と「暑い」の真剣勝負。あれはもう、ほとんど実体験と言いますか……(⌒-⌒; )
毎年、日焼け対策を貫こうと思うのですが、暑さを前にすると、わたしの決意はあっさり負けてしまいます。そんな小さな葛藤にクスリとしていただけて、嬉しいです。
柴犬の本を「これだ!」と選んでしまう場面も拾ってくださり、ありがとうございます。
目的の本を探しに行ったはずなのに、まったく別の本を手にして帰る。書店では、そんな出会いが起きることがありますよね。
「ここ何年も書店を歩いていない」と気づかれたというお話を読んで、書店の中を目的もなく歩き、背表紙を眺め、予定になかった一冊に呼び止められる時間を、わたしも改めて思いました。
デジタルはとても便利ですが、アナログの偶然でしか出会えない本や言葉もありますよね。わたしの描いた場面が、kouさんの中にあった書店の記憶を少しでも呼び起こせたのなら、とても幸せです。
そして、「黒いさん」と「白いさん」を一番好きと仰っていただけたこと!
二人の姿には、『雨の夜に、少女は魔女になる』で描かれた“魔女”と“聖女”の存在も、どこかで響いていたのかもしれません。
けれど、わたしの中へやって来た二人は、日焼けやランチをめぐって真剣に争い、最後には空腹に負けてしまう、ずいぶん生活感のある存在になりました笑
二人の天使についての、右手と左手のお話も、とても興味深く読ませていただきました。
そこから浮かんだのは、南アジアなどに伝わる「右手は清浄の手、左手は不浄の手」という文化です。
もちろん、初期キリスト教の伝承とは起源も意味もまったく異なるものだと思いますが、「右」と「左」に象徴的な意味を与えてきた文化が世界のさまざまな場所にあることを思い出し、なんだかおもしろいなぁと感じました。
同じ「右」と「左」という文字から、こんなにも多様な世界が広がっているのですね。
右手に善へ導く天使、左手に悪へ導く天使。
黒いさんと白いさんへ、新しい背景を一つ贈っていただいたような気持ちです。これから二人を思う時、守護天使のお話も、きっと頭の片隅に浮かぶと思います。
公園の風景を「静かな賑やかさ」と受け取ってくださったことも、胸に残りました。
遠くには街の音があり、近くには鳥の声や、それぞれの休日を過ごす人たちがいる。
静かだけれど、決して無音ではない。
わたしが描きたかった空気を、その言葉で見つけていただけたように感じました。
そして、最後の「――のだが。」に、こんなにも反応してくださるとは🤭
(内心:🙌💃⤴︎)
お店がお休みなのか、大行列なのか、それとも別の何かなのか。いろいろ想像してくださっていることが、とても嬉しいです。
一人の女性が本を選び、扇子で悩み、公園を歩く。そんなささやかな休日から始まる第一話でしたのに、
「もう完全に『次が読みたすぎる!』という読者心理にさせられちゃいました」
というお言葉には、胸がいっぱいになりました。
大きな事件が起きなくても、主人公ともう少し一緒に歩きたい、その先を見てみたいと思っていただけたのなら、書いた者として、こんなに嬉しいことはありません。
主人公がこの先、公園で何を見つけ、どんなものを“拾って”いくのか。これからも見守っていただけましたら嬉しいです。
物語の細部まで大切に拾いながら歩いてくださり、続きを楽しみにしてくださっていることを、大切に胸へ置きながら、次のお話を綴っていきたいと思います。
本当にありがとうございました。
とっても嬉しかったです。
第2話 予定外のご褒美への応援コメント
金時まめさん、第2話も楽しく読ませていただきました!
第1話のラスト、あの「――のだが。」からの展開、そう来ましたか。
まず、共感から始まりました。
せっかく楽しみにしていたお気に入りの場所が、インフルエンサーの影響で大行列……。
これ、現代の「あるある」ですよね。「マーケットを牛耳る能力には恐れ入ったわ」という、ちょっと冷静で毒気のある分析が、大人の女性の独り言らしくてクスッとしてしまいました。愛用していた化粧品のくだりも、身につまされる思いです。
私の場合は、もう半分以上は卒業してしまったプラモ作りにおいて、YouTubeで「この道具が……」と紹介されると、Amazon売り切れ、100均でも売り切れというのを何度も体験しています。
みんな流されやすいな~。などと言いつつ、自分もその一人なんですけどね(^^ゞ
でも、そこから「ここへ入ること自体が目的じゃない」とスパッと切り替える主人公の潔さがかっこいいです!
「黒いさんと白いさんも本日はドロー」という、前回の設定をさらっと回収する遊び心もいいですね。
そして、今回の主役は何といってもガパオライス!
第1話であんなに「素敵カフェごはん」を夢見ていたのに、一気に「ガパオ」へ上書きされるお腹の正直さがたまりません。
ひまわりのような黄色のキッチンカー、辛さでヒリヒリする唇、それを鎮めるアールグレイのアイスティー。
五感を刺激する描写がさらにパワーアップしていて、読んでいて本当にお腹が空いてきました。外で食べるからこその「風」の心地よさも、情景が鮮明に浮かびます。
物語の後半、「綿毛」が登場するシーンからの空気の変化がとても美しかったです。
「季節を間違えた雪」という表現に、ハッとさせられました。さっきまで空腹と暑さでヘトヘトだったはずなのに、その美しさに目を奪われて、今度は「どこから来てるの?」と好奇心で歩き出す。
この心の回復の描き方がとても自然で、読んでいてこちらも元気をもらえるような気がしました。
タイトルにある「空の拾い方」の「拾う」という言葉が、今回は「偶然見つけた景色や感動を拾い上げる」という意味に繋がってきたのかな……なんて想像が膨らみます。
最後、疲れを忘れて風上へ歩き出す姿にワクワクしました。
一体、綿毛の正体は何なのか?
そして、その先にどんな「空」が待っているのか。
第3話も、楽しみに待っていますね!