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第1話:五男坊Mother Nature’s Sonへの応援コメント
まず冒頭で、ありがちな異世界転生物の展開を裏切っている点が高評価です。
本作はむしろ、ファンタジーの衣を纏った「農奴・徴兵・帝国・物流・奴隷制」の社会史小説であり、その上で主人公ベンハミシーの“幸福感覚”を軸に据えた極めて異色の作品です。
特に印象的なのは「文明レベル差」を説明ではなく食事と労働で描いていることです。
また、ベンハミシーという主人公が非常に良い。
彼は決して英雄ではない。
知識も野心もなく、十を超える数も数えられない。だが同時に環境への適応力と生命力に異様な強さを持っている。
普通の作品なら「徴兵」「敗戦」「奴隷落ち」は転落として描かれるはずです。しかし彼にとっては故郷にいた時より軽い旨い飯が食えて、しかも嫁までもらえる。
これだけで彼にとっては天国なのですね。
この価値観の転倒が本作最大の魅力でしょう。
さらに興味深いのは、世界観に漂うSF臭です。明らかに中世ファンタジーではない。
しかし作中人物の認識レベルが低いため、彼らには「怪物」や「魔法」にしか見えない。
とりわけ攻城戦の場面は秀逸でした。
農兵たちの視点では、突然光と衝撃が発生し、世界が消し飛ぶ。だが読者側には、近代兵器あるいはそれ以上の何かだと解る。
この認識ギャップ型SFの使い方が非常に上手い。
そしてラスト。
ニーデリヒ坊ちゃんと家庭教師リーゼェの場面。
ここで作品の空気が少し柔らかくなる。
奴隷頭となったベンハミシーは、もはや搾取されるだけの存在ではない。
彼には居場所があり、家族があり、日常がある。
だが同時に、自分の子供たちは売られて行った。
この静かな残酷さが、本作らしい余韻でした。
悲劇を絶叫せず、ただ人生として受け入れている。そこに妙なリアリティがあります。
この世界そのものについての情報は不足している感がありますが、それは第2話以降のお楽しみなのでしょう。
首を長くして待っています。
第2話:夜間飛行Fly Me To The Moonへの応援コメント
冒頭の、明らかにサン・テグジュペリを意識した詩情にまず痺れます。
シニカルでそのくせ子供のような一面もある主人公が体制に使い潰されていく過程が悲しくて泣けます。
そして彼の帰りをひたすら待ち続ける若い部下の姿も。