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  • 緻密な時代考証に基づいた多摩の情景描写と、息もつかせぬ謎解きが見事に融合した傑作時代ミステリーです!

    特に素晴らしいのは、主人公・健四郎の人間味あふれる造形です。上司の妻・おみねへの秘めた想いゆえに、下手人がかけた「呪い(幻覚)」だと分かっていても、それが消えていくのを寂しく感じてしまう……その切なさと人間の業の深さに強く胸を打たれました。

    折れ曲がった十手などの伏線を大岡越前の前で見事に回収する痛快な展開に加え、事件解決後も消えない哀しみを「沈丁花」の甘酸っぱい香りに乗せて描くラストの余韻が絶品です。極上の読書体験をありがとうございました!

    作者からの返信

    てっぺいさん、お読みいただき、ありがとうございます。

    呪いが消えていくのを寂しく感じる、というところを拾っていただけたのが何より嬉しいです。あそこは書いていて一番迷った箇所でした。健四郎にとって、幻だと分かっていても手放したくないものがある。そこを書きたくて、この話を始めたようなところがあります。

    十手の件も気づいていただけて、書いた甲斐がありました。

    実はこの話には続きがあります。「菫」で三年後を、いま推敲中の「白檀」でその先を書いています。健四郎はあまり変わりません。またお目にかかれましたら幸いです。