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  •  朝の着物は、スーツを着て。
     ダス・ゲマイネにならぬよに。

  • 辛口長文アドバイス企画から来ました!夏神ジンです!

    この先、かなり中身に踏み込んだ話をしています!受け入れなくてもいいと思います!
    ただ、この下に書いているような疑問だけは、持ってほしいです!また超絶長いので、気負わず読んでください……!

    あなたの作品は……アイディアは面白いのですが、主人公と絡めるのが上手くいっていないと感じました!
    「ことし」は「今年」でもいい気がします!

    「――死のうと思っていた。」から「夏まで生きていようと思った。」だけを読むと、明治とか昭和の初め辺りの人の物語なのかな……と思っていたのですが、そこに突然、地下鉄のホーム、スマホといった現代的なものが出現してきます……!
    (もう少し早い段階で、現代の話ですよ!というのを表現した方がいいかもしれません!)

    やっとわかりました!ここは、太宰治の短編小説『葉』の冒頭を抜き出して、それを主人公がスマホで読んでいる、というシーンだったんですね!
    『』で囲ったほうがわかりやすいかもしれません!私のように、あまり太宰治の作品を読んでいない人間は、一瞬本文なのかと思ってしまいます!


    「ハッと我に返った」
    は、一気に場面転換するときに、とても使い勝手がいい文章です!
    ですが、そこで我に返らなくてもいいんじゃないかなという気も……微かにします!
    今回、こういった企画で何十作も読んでいる私からすると、単純に細かい描写を端折りたかっただけじゃないの~?という見方をしてしまいます!
    (これは、下読みの方でも思うんじゃないかと、勝手に自負しているんですが……)

    「俺のすずめの涙ほどの月給」は「すずめの涙ほどの俺の月給」でもいいと思います!
    (俺のすずめ!みたいに読まれる可能性があります!そうではないと気が付きますが、読者はたぶん一瞬「ん?」と止まってしまいます!)


    これは結構個人的な意見ですし、中身に突っこんだ内容なのですが……

    「昔の文豪は、夏物の着物をもらったから夏まで生きようとした。
    対して、令和のしがないシステムエンジニアの俺は、今さっき電車の定期を3ヶ月分更新した。

    なら、俺も後3ヶ月は、あのクソみたいな会社にいようと思った」

    多分ですが、太宰治は「もらったから」生きようと思ったんです。決して自分で夏物の着物を買って、るんるんうきうきになって、夏これ着るの楽しみだな~ではないと思います!

    夏まで生きてほしいと思う人が太宰に着物をあげた、それをわかっているから太宰も死ぬのをもう少し遅らせようと考えた……みたいな感じ……?

    対してこの主人公は自分で定期券を更新しています。それはまだ自分自身で生きようと思えてるんじゃないかな?

    「黄色い満員電車」がうまく想像できません!車体の色のことでしょうか?

    また……これも否定的な意見になってしまうのですが
    「他人の顔色ばかりを窺い、道化のように愛想笑いを浮かべ、上司からの理不尽な叱責に『すみません』を繰り返すだけの毎日」を送るのは、確かに自分を偽っていることになります!

    ですがそれと「恥の多い人生を送ってきました」は微妙につながらないと思います!

    私も昔一度読んだのですが(といっても二、三年前なので、そこまで覚えていないので、真に受けないでください!)

    確か「人間失格」の主人公は普通の人間ではなかったと思います!
    普通じゃないから、普通の幸せが、幸せだと感じられない。
    だから、自分を偽って普通の人間になれば、幸せも手に入る!そう思ったはずです!

    しかし、偽った状態で手に入れた幸せも、やっぱり嘘っぽかった!
    真剣な交際、結婚をしても、結局幸せになれなかった!
    だから、人間失格で(出来損ない)、恥の多い人生だと言いたかったんだと思います!

    この物語の主人公は、どちらかというと一般的な人間で、お金が欲しい、社会の一員として、上司にこびへつらわないと生きていけないからやっている、ような気がします!
    (これはあくまでも、私の意見です!)



    繋ぎが少なく、場面転換がかなり早いです!

    「たまの休日に食べるちょっと高いアイスとか、たまにSNSで見かける他人の幸せな結婚報告とか、そういう微かな「幸福」の気配にさえ、俺は怯えている。」
    ここに関してもさっきと一緒です!


    「俺は怯えている。」についてなんですが……個人的には、怯えてるんじゃないと思います!
    SNSのたとえで特に気になったのですが、
    ああいう、幸せのおすそ分けって、見るとちょっと嫌な感じになる(素直に喜べない)のは、嘘っぽいと思いつつ、それが幸せだよな……とわかっているからじゃないかと思います!

    分かっているんです、どうせ嘘でしょう!画面の向こうでは、今この瞬間、殴り合いの喧嘩をしているかもしれないんですよ、そのカップル!!!
    がははは!と笑いたくなる半面、でも恋人がいてこんな素敵な写真をリールに乗っけてるんだもん、幸せなんだろうなって羨ましがっているはずです!

    幸せを手に入れたら、いつかは不幸になる、というのはすでに幸せを手にしている人にしか言えないと思います!

    主人公には持ち合わせていないものを同世代が手に入れていることに、嫉妬している……なら自然かなと思います!

    全体的に、描写が少ないです!ビュンビュン、シーンが飛んでいきます……!

    アイディアとして、太宰治の作品の一節を入れているのはいいと思います!ただ、完璧にその言葉の意味を飲み込めていないのかなという印象もあります!
    またもう少し細かく描写を入れていくと、ちゃんとした小説になると思います!


    これを読んでもしあなたが文句が言いたくなっていたら……まじ、すみません!!


    以上、夏神ジンでした!

    作者からの返信

    夏神ジンさん

    「辛口長文アドバイス企画」からお越しいただき、本当にありがとうございます!夏神ジンさんの熱量溢れるガチの長文批評、一文字一文字を噛みしめるように拝読いたしました。

    正直、ここまで事細かに作品を読み込み、構造的な矛盾や文章の引っかかりをロジカルに指摘していただけるとは思っていなかったので、ただただ感動しています……!

    特に、
    ・冒頭の太宰の引用が現代ドラマの始まりと混ざって見えてしまう点
    ・「ハッと我に返った」という安易な場面転換の端折りへの指摘
    ・「俺のすずめの涙」という日本語の視線の引っかかり
    ・「着物をもらった太宰」と「自分で定期券を更新した主人公」の、能動と受動の矛盾

    これらはどれも本当に目から鱗で、自分一人では絶対に気づけなかった「下読み・選考委員目線」の鋭いご指摘でした。どれもぐうの音も出ないほど的確で、めちゃくちゃ勉強になりました!

    「定期券の更新」という部分も、例えば「会社から支給(押し付け)された定期券」といった形にリライトすれば、太宰の「よそから着物をもらった」という文脈と綺麗に重なって、物語の文学的な深みが何倍にも増すな、と今からワクワクしながら修正案を練っています。

    文句だなんてとんでもないです!
    ここまで私の作品に真剣に向き合い、時間とエネルギーを割いて「もっと小説を面白くするためのヒント」をくださった夏神ジンさんに、心からの感謝を。

    また劇的に進化させた短編をどんどん書くのでもしどこかで見かけることがあれば、その時は一歩成長した姿を見届けていただけると嬉しいです。

    最高のガチアドバイス、本当にありがとうございました!

    五十嵐燈弥