淡々と綴られるある作家の人生。読ませて頂いて胸が詰まりました。
>ひ弱い、肉体も心の強さも人より劣るそんな男性の、影の薄い人生には、薄いがゆえに、なにがしか人を惹きつけるものが確かにある。
人は強いもの、キラキラしいものに目が行ってしまいがちですが、芒のように頼りない彼の人生に目を向けられた朝吹様の感性が素晴らしいと思いました。
>その白い両腕でしっかりと抱きしめて世の中の悪意から護ってくれた妻
妻も素晴らしいですね。きっと、朝吹様のように頼りない彼の人生を掬い上げる感性を持っていらしたのでしょう。
良いものを拝読させて頂きました。ありがとうございます。
作者からの返信
時輪めぐるさん
強い者は確かにそれだけで魅力がありますが、ふしぎと人は、そうではない方にも惹かれるのです。それはやはりわたしたちが、光の面だけでは生きてはいないからでしょうか。
何をやらせても駄目。そんな男性が、この世のどこかに漂うようにして生きていた、その痕跡。
町はまったく様変わりしていて、おそらくここだろうという場所を見つけても、そこは「コープ〇〇」と名のつく集合住宅になっていました。感慨も何もあったものではありませんでしたけれど、B町にいた頃は、彼が生涯でいちばん幸せだった時代なのではないでしょうか。
編集済
アプリの通知から飛んでいくとついすぐに作品ページを開けてしまいがちで、タイトルを見て「のぎ」だと思い、稲穂や麦穂の鋭い先端とこの作家の姿を重ねて読んでしまいました。鋭いけど皮膚すら貫けないほどやわい芒とぴったりだなあ、と。そしたら実はススキの方でした。ちゃんと概要読まないとですね、すみません。ただススキだとしてもこの方を象徴しているように思いました。
浅学のためこの作家さんが誰だかピンときませんが、影の薄い人生をさらに薄く鋭く研いでこの世に微かに刻んだひとすじ、ふたすじの線には、太い鉄筆には絶対に刻めない何かが宿っているでしょうね。読んでみたくなりました。
作者からの返信
アオノソラさん
残念、ススキのことでした。でも「のぎ」でも合ってます。題名としては「すすきの影」です。
どかーん!と名を遺す文豪よりも、わたしは昔からこういう日陰の作家さんがわりと好きで。ぎらっと光るようなものは何もなく、ただその生涯の不遇さでもって誰かしら忘れない人。作品よりは生涯の方に興味をもたれがちな人なのかもしれません。今だったら完全に発達障害の診断がおりてそうですしね。
文学が高等遊民にのみ許された時代の方なので、60年代あたりだったら、完全に埋没していることでしょう(笑)
コメントレビューまで、ありがとうございました。すごいなー本当にレビューお上手です。
への応援コメント
本当にいらっしゃる作家さんを念頭に置いて書いているのでしょうか。それとも身近な作家ではない誰か、それとも完全なるオリジナル?
なんにせよ、影の薄い人物の輪郭を不思議としっかりとなぞれるような、引き込まれる伝記的な物語です。
縁もゆかりもない誰かが思いを馳せる彼と妻のこと。
本当に心を惹きつける何かとは、案外強烈な光など放っていないものですよね。
作者からの返信
鐘古こよみさん
自転車で付近をうろうろしてみたのですが(不審者)、小山も切り崩され、田もまるで見当たらず、この辺だろうという場所に辿り着いてもそこは集合住宅になってました。絵に描いたような牧歌的な田舎だったのに、鉄道沿線ということもあり、現代では隙間なく家が建ち並んでおりました。
なので昔をしのぶというよりは、唖然として帰ってきました。あとで古い地図をみると、地形にはそこそこ面影があったんですけれど。
まあ住んでいたといっても、ほんの短い間なんですけどね。妻がそこで発病したのは間違いないようです。