どう感想を書いたらいいものか悩みました(嬉しい方の悩みですよ)。
ノスタルジーとも違う、不器用に生きて書いて死んでいった作家への思いですね。
枯れてもなく熱くもない文章でドキュメンタリーのように綴られてゆく。
同じ思いは共有こそできませんけど、似たような懐かしいこだわりってあったなぁ。
企画にご参加いただきありがとうございました。
作者からの返信
柴田 恭太朗さん
今だったら完全に埋没してネットの海に漂うばかりの人だったのでしょうが、高等遊民にしか文学が出来なかった時代の人なので、なんとか末席にいたのですよね。
現代だったら完全に何かの診断が降りてそうな人であること、そういった男性に向けられていたであろう世間の冷たい風、そしてその悲劇的な生涯の方に惹かれる人が多いのでしょうか。
お題を見た途端に、彼のことが想い浮かびました。
すすきを見るとつい岩井俊二監督が昔撮った短編映画『四月物語』を思い出してしまいます。
主演の松たか子さんがススキの野原で一人座り込んで国木田独歩の武蔵野を読んでいる場面が印象に残っています。
岩井俊二監督は元々ミュージック・ビデオ出身だから映画のその場面のフィルムは松たか子さんの歌のPVにも使われてて、雰囲気良いなと思ってました。
自分も聖地巡礼的なことは少しはした事はありますがここで怪獣が出たんだーとか京都駅にいってはここでガメラとイリスが戦ったのかーとかなので自分の聖地巡礼では情緒とかあまり起きないです。
作者からの返信
『四月物語』は音楽が好きです。彼の映像は独特な空気感があって好きです。そうか、ミュージック・ビデオから来たのであんな雰囲気たっぷりの映像美なのですね。どこを切り取っても音楽が背景に流れて絵になりそう。
聖地巡り、たまたま行った場所にやたらとアニメのポスターとか看板とかあって、後で「そうだったんだ」と知ることがある程度です。実写よりもアニメでモデルにされた場所のほうが巡るの楽しそうな気がします。「君の名は」の時も外国の人が大勢、日本に来て聖地巡ってましたよね。
本当にいらっしゃる作家さんを念頭に置いて書いているのでしょうか。それとも身近な作家ではない誰か、それとも完全なるオリジナル?
なんにせよ、影の薄い人物の輪郭を不思議としっかりとなぞれるような、引き込まれる伝記的な物語です。
縁もゆかりもない誰かが思いを馳せる彼と妻のこと。
本当に心を惹きつける何かとは、案外強烈な光など放っていないものですよね。
作者からの返信
鐘古こよみさん
自転車で付近をうろうろしてみたのですが(不審者)、小山も切り崩され、田もまるで見当たらず、この辺だろうという場所に辿り着いてもそこは集合住宅になってました。絵に描いたような牧歌的な田舎だったのに、鉄道沿線ということもあり、現代では隙間なく家が建ち並んでおりました。
なので昔をしのぶというよりは、唖然として帰ってきました。あとで古い地図をみると、地形にはそこそこ面影があったんですけれど。
まあ住んでいたといっても、ほんの短い間なんですけどね。妻がそこで発病したのは間違いないようです。
淡々と綴られるある作家の人生。読ませて頂いて胸が詰まりました。
>ひ弱い、肉体も心の強さも人より劣るそんな男性の、影の薄い人生には、薄いがゆえに、なにがしか人を惹きつけるものが確かにある。
人は強いもの、キラキラしいものに目が行ってしまいがちですが、芒のように頼りない彼の人生に目を向けられた朝吹様の感性が素晴らしいと思いました。
>その白い両腕でしっかりと抱きしめて世の中の悪意から護ってくれた妻
妻も素晴らしいですね。きっと、朝吹様のように頼りない彼の人生を掬い上げる感性を持っていらしたのでしょう。
良いものを拝読させて頂きました。ありがとうございます。
作者からの返信
時輪めぐるさん
強い者は確かにそれだけで魅力がありますが、ふしぎと人は、そうではない方にも惹かれるのです。それはやはりわたしたちが、光の面だけでは生きてはいないからでしょうか。
何をやらせても駄目。そんな男性が、この世のどこかに漂うようにして生きていた、その痕跡。
町はまったく様変わりしていて、おそらくここだろうという場所を見つけても、そこは「コープ〇〇」と名のつく集合住宅になっていました。感慨も何もあったものではありませんでしたけれど、B町にいた頃は、彼が生涯でいちばん幸せだった時代なのではないでしょうか。
編集済
アプリの通知から飛んでいくとついすぐに作品ページを開けてしまいがちで、タイトルを見て「のぎ」だと思い、稲穂や麦穂の鋭い先端とこの作家の姿を重ねて読んでしまいました。鋭いけど皮膚すら貫けないほどやわい芒とぴったりだなあ、と。そしたら実はススキの方でした。ちゃんと概要読まないとですね、すみません。ただススキだとしてもこの方を象徴しているように思いました。
浅学のためこの作家さんが誰だかピンときませんが、影の薄い人生をさらに薄く鋭く研いでこの世に微かに刻んだひとすじ、ふたすじの線には、太い鉄筆には絶対に刻めない何かが宿っているでしょうね。読んでみたくなりました。
作者からの返信
アオノソラさん
残念、ススキのことでした。でも「のぎ」でも合ってます。題名としては「すすきの影」です。
どかーん!と名を遺す文豪よりも、わたしは昔からこういう日陰の作家さんがわりと好きで。ぎらっと光るようなものは何もなく、ただその生涯の不遇さでもって誰かしら忘れない人。作品よりは生涯の方に興味をもたれがちな人なのかもしれません。今だったら完全に発達障害の診断がおりてそうですしね。
文学が高等遊民にのみ許された時代の方なので、60年代あたりだったら、完全に埋没していることでしょう(笑)
コメントレビューまで、ありがとうございました。すごいなー本当にレビューお上手です。
編集済
への応援コメント
自分のことを今もこうして綴ってくれるファンがいてくれることに、彼自身も奥さまも嬉しく思っているのではないですかね。
この作家さんのことは存じ上げないけれど、彼の生き様はそこはかとなく朝吹さんの作品とか思想とかに受け継がれてたりするのかな、とか思ったり……上手く言えないんですけど^_^;
人が人に与える影響ってすごいなあと思います。
わたしは、中学の卒文で同級生が何気に書いた文章が胸にささり、いまだに忘れられないって思い出があったりします^_^
作者からの返信
コリドラス@仁世亜さん
作品よりはその生涯に関心を持たれてる気はしますけれどw
それでも何かしら、人の心を惹きつけるものがそこにあるのでしょう。
思想に影響を与えて……いるのかなぁ。千冊読んだらそのうちの一冊という感じなので、影響があっても微量でしょうが……。
自死したというところが、十代のわたしにはビビットに響いたのでしょうね。
よくある、ド田舎だったものが鉄道の沿線になったことで昭和の終わりから現代にかけて、人口が右肩上がりに爆発みたいな町の話です。