6残った絵への応援コメント
文芸部へのご参加、ありがとうございます。
「かつて愛したものを、なぜ嫌いになってしまったのか」という、創作に携わる者なら誰もが身に覚えのある痛みを、卯花という「妖(あやかし)」との出会いを通して癒していく構成に、深く心を打たれました。
新緑の匂いや、藤の花の紫、そして「燕脂(えんじ)色」のリボン……。色彩の使い方が非常に計算されており、物語が進むにつれて颯人の視界が鮮やかさを取り戻していく様子が手に取るように伝わってくるようです。
■ 全体を読んでの感想
過去の挫折の理由が「他人の評価への恐怖」であったと気づくシーン。そこからの「誰が何と言おうと、私は颯人の描く絵が好きだよ」という卯花の全肯定は、読んでいる私自身の胸のつかえも一緒に取ってくれるような、救いに満ちた名シーンだと思います。
ラストの、卯花がかつて自分が助けた「白い燕」の化身であったという伏線回収も鮮やかで、過去の善行が巡り巡って今の自分を救うという円環の構造には感動を覚えました。
■ お題「対照法」の活用について
本作では、テーマである「対照法(コントラスト)」が、颯人の内面の変化や、世界の二面性を描くために多層的に活用されていました。
・【真っ白なキャンバスと、埃を被ったトロフィー】
冒頭に配置された、これから描くべき「白(未来)」と、過去の栄光を閉じ込めた「黒い棚(過去)」。この視覚的なコントラストが、身動きが取れなくなっている颯人の現状を象徴しており、読者に彼の「停滞」を強く印象づけていますね。
・【日常の静寂と、神の旅行列の喧騒】
誰もいないはずの裏山で見つかる「未知の石段」や、真夜中の静寂の中で響き渡る「雅楽のアンサンブル」。日常の延長線上に突如として現れる「非日常」の対比が、物語の幻想的な美しさを際立たせています。
・【冷たい拒絶の記憶と、卯花のあたたかな体温】
コンクールでの「この作品がいいわけ?」という冷たい声の記憶と、パニックに陥った颯人の背中に置かれた卯花の「温かな手」。過去と現在、拒絶と受容という対照的な体験を重ね合わせることで、彼が再生していく過程がより劇的に表現されていました。
■ 最後に
「燕脂色の組紐」
対照法という技法を、色褪せた日常を「再彩色」するための魔法として、そして忘れ去られた記憶を呼び覚ますための「光と影」として使いこなされた素晴らしい作品をありがとうございました。
颯人がこれから美術部のキャンバスに何を描いていくのか、その先の物語も見てみたいと思わされました。また部室にて、あなたの紡ぐ、風のように爽やかな言葉たちに出会えるのを楽しみにしております。
作者からの返信
この度は、素敵な企画のご立案をありがとうございました。
正直、対照法は馴染みのない技法だったので、使えているのか微妙なところでの参加だったのですが(テキトーですみません涙)、どうやらできていたようなのでよかったです。
技法に対する講評だけでなく、ストーリーに対しての講評も頂けて本当に嬉しいです。
今回は、本当にありがとうございました。
編集済
6残った絵への応援コメント
律角堂です。この度は企画へのご参加ありがとうございました。
既に前に読まれた方が肯定的な側面についてはあらかた評価してくださってあるので、私は別の角度から(つまりはどちらかというと否定的な)コメントしたいと思います。
全体的に肩に力が入りすぎているのかな、という印象を受けました。登場人物の心情、境遇は全てを説明する必要はなく、行動を示すだけで十分な場合もあります。また情景を示すとき、無理に修飾語を用いずとも、ストレートに表現した方がより際立つ場面もあるのです。
どうにも説明せねばならない、修飾語を用いねばならないという思いが先に立ちすぎているのではないでしょうか。どことなく酔っぱらっている人が、「俺は酔ってない!」と喚きながらやたらと背筋をぴんと伸ばし、旧いロボットのようなギクシャクした動作で歩いているような匂いが、文章のそこかしこに染みついているとでもいいましょうか。自然を装いすぎる余りに、余計に不自然になっている。文章を良く見せたいのか、それとも文章を書く自分を良く見せたいのか――これは誠実な書き手にとっていつまでも付きまとう難題ですが、これはもう長い時間をかけて処していくしかありませんので……。あまり参考にならないコメントで申し訳ないが、お互い書き手として頑張りましょう。
作者からの返信
応援コメントそして★までありがとうございます。
律角堂さんのコメントを読んだ時、本当に的を射ていると感じました。
私の性格のせいなのか、どうしても文章をよく見せたい、一文で“おぉ”と思われるような文を! という思いが先走りすぎてしまう、のは前々から自分でも課題だと感じている部分でした。
きっとこの作品だけでなく、公開している作品全てに言える気がします。
きっと、その部分が『全体的に肩に力が入りすぎているのかな、という印象』に繋がってしまったのではないのでしょうか。
いかに引き算の美学をつかうか、これが今後の課題だと思っています。
今回のコメント、改めて自分の文章を見つめ直す良い機会になりました。
本当にありがとうございます。
試行錯誤を重ね、より良い作品を作っていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
PS:『参考にならない』だなんてとんでもない!
客観的な意見も見たかったので、ありがたいかぎりです!