第37話 熱は引いてへの応援コメント
居場所とは、与えられるものではない。
ゼヴァルは人間にもエルフにも拒まれた。
リエルは里の内側にいながら、その力を恐れられ、外へ出ることを禁じられた。
バルディンもまた、故郷を離れ、帰る場所を持たぬ旅人として歩いている。
三人とも、どこかが欠けている。
だから、この物語は特別な力を持つ者たちの英雄譚である前に、居場所を持たぬ者たちが、互いの隣を居場所にしていく話なのだと思う。
ゼヴァルは強い。
魔物を斬り、リエルを守り、自らの身体を削ってでも前へ出る。
だが、その強さの奥には空白がある。
なぜ魔物を倒すのか。
何を探して旅をしているのか。
失った故郷への復讐なのか、それとも忘れてしまった何かを取り戻したいだけなのか。
本人にも分からない。
戦う理由を持たぬまま、戦うことだけを続けている。
そんなゼヴァルへ、リエルは立派な答えを与えない。
「今はただ、わたしに付いてきてくださいませんか」
この一言がよい。長い能書きなど、犬にでも食わせておけばよい。
もちろん、理由がなければ動けないのではない。
自分の答えが見つからぬなら、今だけは誰かの願いへ足を預けても、良いではないか。
ゼヴァルはリエルを守るだけの者ではない。
リエルに導かれることもある。
それが、二人の関係を救う者と救われる者だけで終わらせない。
リエルもまた、傷を癒やす力を持ちながら、自分自身を救うことができなかった。
力を使えば恐れられる。
外へ出れば秩序を乱すと言われる。
人を救った結果、その人々から閉じ込められる。
なんと悪趣味な檻であろうな?
それでもリエルは、里から逃げる。
逃げながら「もう逃げたくない」と言う。
これほど美しい矛盾があるだろうか。
彼女が逃げたのは責任からではない。
自分の生き方を、他人の恐怖に決めさせないためだ。
里を出たリエルは、星を失った少女へ、自分が孤独を耐えるために使っていた星見の筒を渡す。
独りで見るための光を、誰かと見るための光へ変える。
そこで初めて、リエルの祝福は傷を癒やすだけの力ではなくなったように思えた。
自分が受け取れなかったものを、次の誰かへ渡す力になる。
そして旅が進むほど、この物語は「強い者が弱い者を助ける」という単純な形を崩していく。
怯えながら正義を語るアイウート。
自分の発明すら直せず、職人としての自信を失っているカイ。
誰も英雄らしくない。
アイウートの水だけでは、敵を止められない。
ゼヴァルの氷だけでは、広く届かない。
だが、水が地を走り、氷がそれへ形を与えた瞬間、二人は敵を封じる。
カイの知識だけでは、火元へ辿り着けない。
バルディンの力だけでは、異常な炎の正体を見抜けない。
カイが炎の仕組みを見抜き、バルディンが命を削って道を作る。
一人では足りない。
何度も、それを見せてくる。
だが足りないことは、価値がないこと、ではない。
自分にないものを他人から借り、自分にあるものを他人へ渡す。
それだけで、一人では止められなかった炎が消える。
ここが、この作品の一番眩しいところである。
誰か一人が万能になり、すべてを救うのではない。
臆病な者は、臆病なまま前へ出る。
未熟な者は、未熟なまま異変へ気づく。
答えを持たぬ者は、誰かの背を追う。
強い者も、誰かに支えられなければ立てない。
足りぬまま、隣に立つ。
それでよいのだと、この物語は何度も示してくる。
ふ、人の魂の震える音色の、なんと美しきことか。
冗長?笑わせるな、削られた芯しか残っていないではないか。
ゼヴァルもリエルもバルディンも、失ったものを取り戻してはいない。
ゼヴァルの記憶は欠けたまま。
リエルの里が彼女を受け入れたわけでもない。
バルディンの過去も、まだ語られぬまま残っている。
魔人たちの目的も、祝福の意味も、旅の先も分からない。
それでも、三人はもう孤独ではない。
居場所を見つけたというより、歩きながら作り始めたのだろう。
食事をする場所。
焚き火を囲む時間。
自分では見つけられぬ答えを、誰かへ預けられる距離。
故郷とは、必ずしも生まれた土地を指さない。
足りない自分を隠さず、それでも隣に立ってよいと思える場所なのかもしれないと、夢を見るのも悪くはないであろう?
この物語の者たちは、まだ、完成していない。
だからこそよい。
完成していない者同士が、互いを完成品へ作り替えるのではなく、欠けたまま支え合って進んでいく。
誰か一人の強さではない。
水と氷。
知識と力。
恐れと勇気。
問いと、まだ見つからぬ答え。
異なる音が重なったとき、初めて道になる。
一人で足りぬことを、恥じるな。
お前にないものを持つ者が、もう隣にいる。
そして、お前にしかないものを必要とする者もまた、隣にいるのだから。
作者からの返信
迷いの森編のテーマ
星降る丘編のテーマ
トレミア共和国序編のテーマ
その全てをしっかりと受け取った上で言語化して頂き、本当にありがとうございます。
今はまだ、三人とも何者でもないです。
この物語のパーティは皆、何かを欠けさせています。
長い長い旅路を、僕の使える時間の全てをかけてこれから書いていくつもりです。
また、どこかの空でお会いできることを心より楽しみにしています。
ありがとうございます。
第40話 長い夜が明ける前①への応援コメント
か、かわいい……。センノのしめった鼻かわいい……。
体調よさそうで何より……。
それは置いておいて。
詳細はわからなくても、ゼヴァルの心に寄り添おうとするリエルがすごくいいです。
不安や傷を分かち合えるといいのですが。
作者からの返信
わんわんお。シェパードで冷静だけど隊長の扱いは心得ておるのです。
これから長い夜が始まるので、どうか見守って頂ければです。
第9話 戦いの傷跡①への応援コメント
バルディンが燻し銀のようでたいへん素晴らしいです。
そして若い2人は、こちらは…!
作者からの返信
ありがとうございます、彼はこの作品の背骨だと思っています!
若者は、これからどうなっていくのでしょうか
第37話 熱は引いてへの応援コメント
わー!やっぱりめちゃくちゃ好きです…!
セリフも行動もすべてが刺さりすぎて……本当にありがとうございます。
作者からの返信
流石に誰が物陰にいるのかバレましたか。
こちらこそ、ありがとうございます😊
第37話 熱は引いてへの応援コメント
二人で木の実食べるカイとおっちゃん、尊い。
一息つけた気がしてほっとしました。よかったね。
おっちゃんもですが、カイが精神的にも肉体的にもすごく頑張ったなと思います。
いっぱいご飯を食べてほしい。
エドアルド、おもしれー男のくせに、一人になると真面目なんだろうかと思うとまた味わい深いです。いい男です。
作者からの返信
ちょっとカイには無理させ過ぎました。
でも、きっと鎖は断ち切れたでしょう。
エドアルドは暗いこの物語に息抜きが入れられて、とても助かるナイスガイです。
第36話 消えない炎②への応援コメント
ひー、これは怖いですよね。
でも勇気を出しておっちゃんの期待に応えようとするカイに、胸が熱くなりました。
大事な武器を、カイなら扱えると信じて託してくれるおっちゃんにも。
これは良い回だーー!
作者からの返信
自分を信じて、一皮剥けた回でした。カイだけに。
第35話 消えない炎①への応援コメント
エドアルドが面白すぎてしんどいです。何この人。変な人!(褒めてる)
アアー!でもそれはさておきおっちゃんとカイがねぇ、良い!!
作者からの返信
はーはっはっはっ!
それはさておき、バルディンとカイの関係は、ゼヴァルとバルディンの関係とはまた違ったものとなるよう気をつけているので、良いと思ってもらえるよう頑張ります!
第33話 律のアストログマへの応援コメント
実は登場シーンからめちゃくちゃ刺さってたんですが……ネロが推しになる予感しかしなくて震えてます
今後どのようなアストログマが登場していくのかも、とても楽しみです!
作者からの返信
なんと!ありがたいことです、きっとネロも喜びます。
能力ものは能力出してなんぼ!色々ネタがあるので、その時までどうぞお楽しみに。
第19話 星の降る夜への応援コメント
失ったものは戻らない。そのことを考えさせられる美しいお話でした…!
そしてリエルがいい子すぎて、どうか幸せになって欲しいと思わず願ってしまいます。
作者からの返信
ありがとうございます!
まだ世間知らずな彼女を、どうかよろしくお願いします!
第30話 トラーマ、燃ゆる②への応援コメント
はぁあ、バルディンのおっちゃんはいいですねぇ。かっこいい。
カイとアイウートをうまく導いてやってほしいものです。
カイの過去エピソードにもぐっときました。何か活躍できることが見つかってほしいなと、素直に応援したくなります。
作者からの返信
バルディンの株が上がり調子で、僕としても嬉しい限りです!
カイならきっとできる。
第29話 トラーマ、燃ゆる①への応援コメント
ゼヴァルの自分の気持ちをうまいこと言語化できない感じがなんとももどかしいです。
本人はそこまで色々考えてないのかもしれないですけど……。
そしておっちゃん……!私の人生相談も聞いて欲しい。
やっぱりカイとの組み合わせがめちゃくちゃ良いです。おいしい。
作者からの返信
ゼヴァルは……今はこれが二人の距離ということで!
明るいカイを見守るおっちゃん、みんなの良心!
第29話 トラーマ、燃ゆる①への応援コメント
ゼヴァルの抱えてきた想いが少しずつ明かされて、彼という人物をもっと知りたくなりました。
リエルのまっすぐな言葉が温かく、二人のやり取りを見守る気持ちで読めました。
一方でカイの過去や夢も応援したくなり、自然と感情移入できます。
最後の轟音で空気が一変し、この先どうなるのか一気に続きを読みたくなりました。
作者からの返信
初めまして。
コメントありがとうございます!
カイくんもゼヴァルもリエルも、まだまだなところがあるので、是非応援して頂けるとです!
第28話 二人の距離への応援コメント
世界観が広がるエピソード(=´▽`=)今回、特に青い瞳の猫ちゃんの描写が丁寧ですね♡モフモフお好きなのでしょうか。良い〜!
作者からの返信
ありがとうございます!
あまり言い過ぎてもあれなのですが、とあるメタファーを込めています。
モフモフ大大大好きです!
第28話 二人の距離への応援コメント
討伐したものの価値やお買い物。世界観が見える描写の回!大好物です。
後半はほのぼのしながら読んじゃいました。続きが気になるやつですよこれは。
作者からの返信
ありがとうございます!
生粋の猫派なので、青い目の猫を登場させてしまいました。
第27話 工房見習いの少年への応援コメント
元気のいい子が出てきましたね!
私、元気な男の子とおっちゃんの組み合わせ、好きなので……、ニヤニヤしてしまいました。
作者からの返信
シリアスなこの作品を救う救世主が、満を持して登場しました!
カイの今後の絡みは……乞うご期待です!
第4話 檻への応援コメント
コメントを失礼します。
いつも楽しく読ませていただいております。
閉ざされた空間で交わされる対話が、圧迫感と緊張を丁寧に積み上げている印象を受けました。
外と内の価値観の衝突が、言葉よりも沈黙と態度で浮かび上がる構成がとてもお上手ですよね。
リエルの孤独と世界の揺らぎが、最後の鳥の描写で不穏に余韻を残しているところも素敵です。
ぜひ遊びにいらしてくださいね。
引き続き楽しませていただきますね。
作者からの返信
初めまして。
読んで頂き、作品の空気感を感じ取って頂き、ありがとうございます!
引き続き楽しんで頂けるように精進したいと思います。
また、先ほど2話まで読ませて頂きました。
Web小説に疎く、いわゆるなろう系の物語を通ってこなかった手前慣れるのに時間がかかりそうですが、犬は好きなので読み進めてみようと思います。
ただ、僕は猫派なので途中で投げ出すかもしれません。その際はどうかご了承ください。
第22話 アイウートの信念①への応援コメント
真面目な眼鏡キャラも現れましたね!
しっかりとした矜持と信念がありそうです。
ブッロとはなんだか、また揉めそうな気がして心配です。
作者からの返信
あいうえアイウートと覚えてください。
第20話 宿場町ソーリアへの応援コメント
むむ、新キャラ登場ですね。
正直怪しいです。これは怪しいビジュアルと態度です。
それにバルディンが言うことは間違いない、はず……?
作者からの返信
彼はぶどう酒を飲んで酔っぱらっているかもしれません
第19話 星の降る夜への応援コメント
ティカ……。
人は誰からも忘れられた時にもう一度死ぬとはよく言いますが、村長の考え方が胸に染みる回でした。
星空から朝の光への流れも美しいです。
作者からの返信
またこの村に来て、満天の星空が見たいですね。
編集済
第12話 痛みを抱えて①への応援コメント
ゼヴァルは、いわゆる正義の味方のように振舞わないところが良いですね。
以前リエルに、なぜ助けるのか?と聞かれたときも「わからない」と答えていましたが、、自分を善人として語らないところに惹かれます。
作者からの返信
読んで頂きありがとうございます!
良かったです。
実はゼヴァルがわからない、と答えること自体が彼自身の内面を表している意図があったりします。
第1話 放浪の旅路への応援コメント
ゼヴァルとバルディンの静かな掛け合いがとても心地よく、長い旅路を共にしてきた空気感が自然に伝わってきました。 迷いの森へ向かう不穏さと、ゼヴァル自身の過去に秘められた謎が絡み合っていて、続きが気になる導入でした。 (≧▽≦)
面白かったので、★★★とレビューを進呈いたします(人 •͈ᴗ•͈)
もしよかったら、私の作品も読んでいただき、面白かったら★★★をいただけたら嬉しいです(◍•ᴗ•◍)
先生と繋がっていきたいので
作者フォローよろしくお願いしますm(_ _;)m
作者からの返信
読んで頂きありがとうございます!
レビューもありがとうございます、時間がある時にお邪魔させて頂きますね。
第41話 長い夜が明ける前②への応援コメント
みんなでごはんを食べている様子に安心しました。
改めておっちゃんの器のデカさに惚れ込んでいます。
おっちゃんの憧れ、首を長くして待たせていただきます。
作者からの返信
すいません、ありがとうございます。
色々書くこと思いついたのですが、結局これしかしっくりこなかったので感謝の言葉だけにさせてください。