応援コメント

すべてのエピソードへの応援コメント

  • 水切りへの応援コメント

    文芸部へのご参加、ありがとうございます。
    「墓参りの帰りなのに花束ひとつ手元にあった」という、どこかちぐはぐでミステリアスな導入から、静謐な川辺の景色へ。日常のふとした隙間に潜む、大切な人との別れと記憶のグラデーションが綺麗だと感じました。

    ■ 全体を読んでの感想
    前半の「一緒に来たのは誰だっけ」という、あえて輪郭を曖昧にした記憶の描写から、7歳の妹の「事故、だったよね」という一言を境に、切ない輪郭が立ち上がってくるプロットの鮮やかさが素晴らしいです。
    都会育ちで、この川の鉄砲水を知らなかった友人。かつて向こう岸まで「ちょんちょんちょん」と見事に石を飛ばしてみせたその彼が、今はもういないという事実。祖母へのお墓参りの帰りに、もうひとつの花束を川へ手向ける主人公の心の整理が、満開のストックの花びらが水面に「解けていく」美しいビジュアルへと収束していくラストの余韻が今も目の前に美しく広がっています。

    ■ お題「省略法」の活用について
    本作では、テーマである「省略法」が、説明的な状況描写をあえて引き算することで、主人公の「喪失感のリアルさ」と物語の「情緒」を最大化するために、極めて洗練された形で使われていました。

    ・【友人の『名前や人となり』の省略】
    亡くなってしまったその友人が「何という名前なのか」「主人公とどれほど親しかったのか」といった具体的なエピソードが徹底して「省略」されています。この引き算があるからこそ、読者は「覚えていない、けど覚えている」という主人公の脳内の切ない揺らぎをそのまま共有し、だからこそ後半で「ようやく思い出した友人」へとピントが合った瞬間の感情の波が、より劇的に際立っていたように思います。

    ・【鉄砲水が起きた『事故当日』の直接描写の省略】
    友人が雨の翌朝に一人で川へ行き、何が起きたのかという凄惨な事故のプロセスをあえて一切書かず、妹の素朴な疑問と、主人公の「きっと都会育ちの彼は知らなかったのだろう」という淡々とした内省だけで処理する省略法。この静かな引き算によって、悲劇が過剰にお涙頂戴にならず、残された川の静けさと、手向けられた淡い花束の美しさがより一層引き立つ見事な演出になってると感じました。

    ■ 最後に
    省略法という技法を、語り尽くせない突然の別れの哀しみをそっと包み込み、読者の想像力の中で一番美しい祈りへと変えるための「知的な行間」として使いこなされた素晴らしい作品をありがとうございました。
    また部室にて、あなたの紡ぐ、五感に静かに染み入る美しい物語に出会えるのを心より楽しみにしております。

    作者からの返信

    ご覧いただきありがとうございました。
    丁寧に情景や場面、行間まで読んでいただき嬉しかったです。
    水辺の空気や、静かな記憶の揺らぎが伝わっていたなら幸いです。