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  • Aki Dortuさん、今回の企画にも参加していただいてありがとうございます。

     企画に説明してある通り、本作を、文体・心理・構造・象徴の観点で分析し、感想を書かせていただきます。

     文体は平易で、純文学というより一般文芸のニュアンスです。
    「朝の満員電車に揺られていると、自分が一つの荷物になったような気がすることがある」
    も十分良いのですが、さらに純文に寄せると、
    「出勤のために身動きの取れない電車内で吊皮を掴み、無になって目を閉じていると、肉体が酷く重いものに感じられ、会社へ運ぶための荷物のように思えてくる」
    という感じになります。少し長いし、読みにくいと感じると思いますが、こういう身体が感じる事を描写すると、一気に読者が作品に入りやすくなるという事があります。

     心理面ですが、狭いムラ社会を飛び出して、東京でゲイであることを、部分的にでもカムアウトして生きたい、というのは分かりますし、なかなか上手くいかないから帰郷を検討する、というのもよく分かります。
     ここから、構造も含めて指摘したいのですが、時系列がちょっと整合性に欠けると感じます。高校を出た後、一旦地元で就職して、一、二年で上京してますよね。それで、四十二歳の今につながる。まず、弘明が二十歳前後の頃にスマートフォンはまだありません。そして、約二十年間ほど東京で過ごしている割に、こなしているイベントが少なすぎます。二丁目行ってアプリ使って新橋行っただけでは……。ですから、現在を二十五歳ぐらいにすれば、今言った矛盾は全て解決します。

     本作のテーマは、「不器用な弘明が、居場所を探す物語」ですが、これ自体は書けています。帰る場所としての母親の暖かさが本作の安心どころですね。ただ、ゲイである事、周りのみんなとの性的指向の違いによる痛みや悲しみの描写が、紋切り型の説明であって、いわば「記号的」なんですね。もっともっと、泣いたり悔しがったり落ち込んだりしてほしいです。
     更に、「自分を理解して受け入れてくれる人」を必死に求めて欲しい。ありのままで生きたい、と叫ばせてほしい。つまり、弘明に生きた人間としての欲望、体温が感じられない。おとなしい性格なのは分かりますが、優等生過ぎるんじゃないかと。カクヨムの読者に提示するために、穏当な書き方にしているのかもしれませんが、そうであっても、一度ぐらいは自分と世界に絶望して床を叩くような場面を書いてほしかったな、と思いました。物語に温度差をつける、ということです。

     というのが純文学として本作を拝読した感想ですが、Akiさんの作品らしい暖かさ、静かさ、誠実さは十分感じ取れました。参考になる部分があれば受け取ってください。それでは、これからもお互いに頑張りましょう。

    作者からの返信

    平山さん、詳細な分析ありがとうございます。

    自分の文章を読んでも、人物描写や構成が甘いところはあるなというのを感覚的には分かっていても、具体的にどう改善していくのかという点が見えてこないため、このように分析していただけると助かります。

    こちらの内容を次回以降に活かしていこうと思います。
    これからもお互いに頑張りましょう。