2026年5月26日 19:13 編集済
第5話 グッバイ・サリンジャーへの応援コメント
楠本ラリアットさん、こちらを拝読させていただきました。重厚で思索を必要とする作品です。過剰に感傷に浸らず、投げつけるような文体はヘミングウェイを思い出させます、圧倒的な言語的迫力があります。その中で、私はタイトルにもなっているサリンジャーが未読で、後チェーホフも未読なので、十全な理解はおそらく出来ていないのだろうと思いながら、可能な限り読みとれた事、感じたことを書かせていただこうと思います。虐待と孤独の中で、読書に耽ることで生きる主人公。乖離を駆使し、サバイブする姿には強い共感を感じます。世界に存在する様々な価値観を読書や体験を通じて知っていきながら、大人になっていく。その過程のエピソードで、相田、佐伯先生、天皇と交流し、友情、読書と思索、政治と行動について学んでゆく。特に厳しいエピソードは佐伯先生の真の狙い、正体を知ることですね。人には裏表があることを知る。相田との関係では変化と未来の不確定さ、天皇からは行動と意志、それ自体の価値を知り、主人公はいつしか、乖離ではなく、内と外の自分を一致させる事を身に着け、ただ歩いていく。この三人が主人公を導く形式になっていて、その構造も素晴らしいと思います。読者に何かを考えさせる、まさしく純文学の作品だと思います。楠本ラリアットさんはプロ志望なのでしょうか。そういう事は考えず、今は小説を書いている、という段階でしょうか。今でも十分高い水準の作品を書かれています。文学系の新人賞は、だいたいもう少し長い作品、原稿用紙100枚から200枚ほどを求めてきます。そこを頭に入れて、もうちょっとだけ長く作品を書く事を意識されて、是非ガンガン新人賞に応募してほしいです。本作、挑戦に値する域に達している作品だと思います。(ただし、ネットに公開した作品は応募は出来ないのですが…)それでは、「引力」のほうを読みに行ってきますね。
作者からの返信
平山さん、丁寧な読解をありがとうございます。サリンジャーやチェーホフが未読だという点は、気にしないでください。むしろ、そうした背景知識なしに作品と向き合い、自分なりの言葉で返信を書いてくださったこと、その誠実さに救われました。また背景知識を必要としない物語を目指していたため、何かを受け取ってもらえたらなら、それだけで書き手として報われました。「プロ志望か」という問いですが、以前はそうでした。しかし、病で倒れ、一度筆を置かざるを得ない時期が長いことありました。今は、特定の新人賞や文芸誌のフォーマットに合わせることよりも、この場所で書き続けること、そして反応を直接受け取りながら創作の熱量を維持していくことの方を大切にしたいと考えています。それが、今の僕にとって最も必要な「執筆の理由」になっています。平山さんのような、緻密な読解をされる方にそう言っていただけるのは、本当に大きな励みになります。ありがとうございました。
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第5話 グッバイ・サリンジャーへの応援コメント
楠本ラリアットさん、こちらを拝読させていただきました。
重厚で思索を必要とする作品です。過剰に感傷に浸らず、投げつけるような文体はヘミングウェイを思い出させます、圧倒的な言語的迫力があります。その中で、私はタイトルにもなっているサリンジャーが未読で、後チェーホフも未読なので、十全な理解はおそらく出来ていないのだろうと思いながら、可能な限り読みとれた事、感じたことを書かせていただこうと思います。
虐待と孤独の中で、読書に耽ることで生きる主人公。乖離を駆使し、サバイブする姿には強い共感を感じます。世界に存在する様々な価値観を読書や体験を通じて知っていきながら、大人になっていく。その過程のエピソードで、相田、佐伯先生、天皇と交流し、友情、読書と思索、政治と行動について学んでゆく。特に厳しいエピソードは佐伯先生の真の狙い、正体を知ることですね。人には裏表があることを知る。相田との関係では変化と未来の不確定さ、天皇からは行動と意志、それ自体の価値を知り、主人公はいつしか、乖離ではなく、内と外の自分を一致させる事を身に着け、ただ歩いていく。この三人が主人公を導く形式になっていて、その構造も素晴らしいと思います。読者に何かを考えさせる、まさしく純文学の作品だと思います。
楠本ラリアットさんはプロ志望なのでしょうか。そういう事は考えず、今は小説を書いている、という段階でしょうか。今でも十分高い水準の作品を書かれています。文学系の新人賞は、だいたいもう少し長い作品、原稿用紙100枚から200枚ほどを求めてきます。そこを頭に入れて、もうちょっとだけ長く作品を書く事を意識されて、是非ガンガン新人賞に応募してほしいです。本作、挑戦に値する域に達している作品だと思います。(ただし、ネットに公開した作品は応募は出来ないのですが…)
それでは、「引力」のほうを読みに行ってきますね。
作者からの返信
平山さん、丁寧な読解をありがとうございます。
サリンジャーやチェーホフが未読だという点は、気にしないでください。むしろ、そうした背景知識なしに作品と向き合い、自分なりの言葉で返信を書いてくださったこと、その誠実さに救われました。また背景知識を必要としない物語を目指していたため、何かを受け取ってもらえたらなら、それだけで書き手として報われました。
「プロ志望か」という問いですが、以前はそうでした。しかし、病で倒れ、一度筆を置かざるを得ない時期が長いことありました。今は、特定の新人賞や文芸誌のフォーマットに合わせることよりも、この場所で書き続けること、そして反応を直接受け取りながら創作の熱量を維持していくことの方を大切にしたいと考えています。それが、今の僕にとって最も必要な「執筆の理由」になっています。
平山さんのような、緻密な読解をされる方にそう言っていただけるのは、本当に大きな励みになります。ありがとうございました。