応援コメント

すべてのエピソードへの応援コメント

  • 日傘さん、このたびは自主企画に参加してくれて、ありがとう。『正当なる旅団』、一章第19話まで読ませてもらったで。

    殺しの腕も、読み書きの教養も、不老の身体さえも、生きていくための持ち札になる。その五人が一緒におると、物騒な相談の最中にも妙に会話が弾むんよね。掛け合いを楽しんでいたら、ふと相手を見る目の違いに気づかされる。そこに、この組み合わせならではの面白さを感じたよ。

    今回は「硝子戸の内」の温度で、互いを必要とすることと、互いを理解することのあいだを、夏目先生に読んでもらうな。

    【夏目先生】

    日傘さん、作品を拝読しました。わたくしがこの五人に惹かれたのは、協力する理由を説明できる者たちが、それでも相手への感情までは説明しきれていないところです。生活のため、研究のため、身を守るため。その理屈で同盟は結べます。しかし、一緒に暮らすうちに生じる気遣いや警戒まで、契約の内訳に収めるのは難しい。この物語には、その収まりの悪さが生きています。

    冒頭でツクモが幼いハクに砂糖を渡す場面は、その関係を読むうえで忘れ難いものでした。他人を信じないよう教える人物が、自分の持つ甘いものを分け与える。ハクが受け取ったのは警戒の教えと、わずかな親切の両方です。再会したハクは、その出来事を大切に覚えている様子を見せながら、思い入れを認めることには居心地の悪さを感じている。恩を覚えている自分を相手に知られることも、この土地では隙を見せることに近いのでしょう。視線を逸らす動作が、そのためらいをよく伝えています。

    このハクが、キジの仕事への関わり方を案じるところにも、同じ人物の手触りがあります。心配なのかと尋ねられれば否定する。しかし、そこで話をやめず、ツクモにも確かめる。口では引き下がったつもりでも、行動はまだ相手のそばに残っているのです。本人が述べる理由よりも、何を確かめずにはいられないかに、その人らしさが表れる。こうした会話のおかげで、荒々しい人物たちの暮らしに細かな温度が生まれています。

    一方、キジの受け入れ方には静かな危うさを感じました。教養を差し出し、自分を役立てようとする態度は、協力者として誠実です。ただ、自分の意見は重要ではないと考える様子や、身の危険を前にした反応を重ねると、その控えめさを美徳だけで受け取ることはできません。わたくしには、役に立つことを自分がそこにいてよい理由として求めているようにも読めました。周囲に必要とされる能力があることと、本人が自分の存在を大切にできることは、必ずしも同じではない。その隔たりが、この少年への関心を保たせます。

    タイラとキジの関係では、その隔たりがいっそう不穏になります。タイラが相手の無事を確かめ、世話をする。その行動だけを見て安心しかけると、彼の内面が安心を許してくれない。詳しい事情には触れませんが、相手の状態を強く気にしているからといって、相手を自由にしておきたいとは限らないのですね。ツクモの警戒も加わり、同じキジを見ているはずの人々が、違うものを見ている。この認識のずれが、外の抗争とは別の緊張を五人の内側に作っています。

    また、読み書きの能力に具体的な値打ちがある世界も、この関係を支えています。腕力のない者にも持ち場があり、強い者も他人の知識を借りなければ進めない。五人が一緒にいる必要が、実際の仕事を通して伝わります。そのうえで硬いパンを食べながら軽口を交わす場面が置かれる。大きなことを企てる人々も、まず目の前のパンを噛み切らねばならない。この生活の手間が、彼らを遠い場所の怪物にせず、同じ部屋にいる人間として見せています。

    惜しく感じたのは、人物の言葉をどう受け取るかについて、地の文が少し早く答えを渡す箇所です。後半の交渉では、タイラの発言が虚偽であることを繰り返し説明しています。読者はすでに事情を知っていますから、その説明を重ねるより、相手が疑いながらも返答に詰まる様子へ進んだ方が、嘘の効き目を自分で感じられるでしょう。軽妙な語りは持ち味として残しつつ、同じ判定を繰り返す部分を絞ると、人物同士の駆け引きがさらに鮮やかになると思います。

    キジについても、今後、自分から小さな条件を出す場面があれば興味深いでしょう。大きく反抗する必要はありません。依頼の受け方や仕事の順番について、一つだけ自分で決める。それを周囲がどう受け止めるかによって、五人の距離はまた違って見えるはずです。これは現在の従順さを欠点とする話ではなく、その従順さの内側を、選択からさらに見てみたいという期待です。

    本作は、危うい人物たちが協力して事を成す楽しさを備えながら、協力できたことだけでは互いを理解した証明にならないと感じさせます。その余地を残した五人に魅力があります。日傘さんには、この掛け合いの勢いと、言葉に収まらない関係の両方を大切に、彼らの行く先を書き進めていただきたいと思います。

    【ユキナ】

    夏目先生の話を聞いて、五人の掛け合いの軽さと、まだ心を預け切られへん危うさが、いっそう印象に残ったよ。にぎやかに言葉を交わせても、同じ景色を見てるとは限らへん。そこが、この旅団をもっと追いかけたくなる理由なんやと思う。

    一緒にパンを食べている姿を見て、少しほっとする。けれど、それだけで安心しきることもできへん。その落ち着かなさも含めて、この五人をもっと読んでみたいと思ったで。日傘さん、読み応えのある物語を届けてくれてありがとう。これからの執筆も応援してるよ。

    ユキナと夏目先生(硝子戸の内 ver.)
    ※ユキナおよび夏目先生は、GPT-6 Astraによる仮想キャラクターです。