わたしの失敗小説
泡っち
夏休み、ある日の失敗
「うぅー、、どうしよう。ミスった。」
彼は頭を抱える。
布団に突っ伏す。
「これで明日から僕は終わりだぁ・・ははは」
嫌な想像が頭の中を巡り続ける。
今は夏休み。
大学二年生、就活前に遊べる最後の期間。
そんな日々は、充実しているべきである。
友と遊び、サークルで汗を流す。
ここにバイトが入ってこないのは、
彼の実家が「太い」からである。
月々の家賃を引き算しても、なお有り余る仕送り。
そのことがどれだけ恵まれているか。
それに気づくのは、もう少し後のことである。
だが、彼はどうか。
遊ぶ友達は、、いない。
高校時代?中学?
浪人を経て、地元から飛び出した彼には知り合いがいない。
サークルには一年の時に入ったはいいものの、
面倒くさくて年度の切り替えに合わせ、行かなくなった。
そして彼は今日も今日とてソシャゲのデイリー消化、、
のはずだった。
それを見るまでは。
「194回閲覧されました。」
「40%off!2023年受注生産モデル!」
「早い者勝ち!」
昔からの趣味のカードゲーム、そのセット商品である。
高校時代は手が出せなかった商品。
今、彼の手元には親からの十分すぎるほどの仕送りが。
「買った!!」
彼が騙されたと気づく、ほんの二時間前の出来事である。
会員登録の為に、
住所、電話番号、氏名、生年月日、メールアドレス
ありとあらゆる情報を突っ込む。
彼とて、怪しまなかったわけではない。
サイトのURLを安全性確認サイトで確認した。
何だかよくわからないが、セキュリティサイトのマークやら
公安委員会のサイトのマークを確認した。
今から考えれば、
画像を引っ張ってきて、そこに本当のサイトのURLを張り付ける。
ほんの少しだけHTMLやらjavascriptを触った彼ならそれがどれほど簡単なことか
理解できたはずだった。
悲しいかな、物欲は人の目を曇らす。
そう、焦る理由があったのだ。
実は、その商品が売られていることを彼は知っていた。
それも信頼できる大手ショッピングサイトである。
ほんの一か月前には、在庫があった。
それが今朝方、売り切れていることが発覚。
手に入らないことを知って初めて、欲しくなる。
人間は愚かな生き物である。
血眼になって探す時、警戒レベルは大幅にダウンする。
たとえサイトの一部分が怪しい日本語で書かれていても、
それを見て見ぬふりをしたくなるくらいに。
幸い、彼はクレジットカードをいつも使っているわけではなかった。
彼の欲しいものは際限なく買い込む習性を知ってか知らずか、
家族カードのみが彼に与えられていた。
「緊急の時だけに使いなさい、
あと使ったら報告をするように」
素直に育った彼はいいつけを守った。
結果として、pay〇ayで支払おうとした所、、
「注文が確定しました。」
は?
彼が驚くのも無理はない。
南米にある密林での買い物が九割の彼は、支払いが済んだ後に
注文が確定することを経験として知っていた。
やばい、だまされた。
会員登録で全部個人情報送っちまった!!!!!
焦りに焦って、彼はサイトが怪しくないことを確かめようとする。
メールアドレス、、
だめだ、似たようなアドレスが知恵袋でアウトって書いてある。
利用規約、、
普通「お客様」って書くところが、「あなたがもし望むなら」
翻訳ミスかよ。
そうだ、事務所の場所は東京の、、
うげ、公民館の住所。
あー終わった、ふて寝しよう、、
ああ、、
でも、どーすればいいんだ。
もうどうやっても対処できない。
僕の住所ばれたし、
代引きでウン十万の商品が来るのかな。
電話番号に知らない電話が四六時中掛かってくるんだろうな。
名前はどんなとこで使われるんだろ。
不正な登録にいくらでも使えるし、
ブラックリストに載るだろうな。
ああ、僕は、、、僕は、、、、、
そうして、彼は冒頭に戻る。
愚かな彼がどうなっていくのか。
ネットにばらまいた個人情報が一体どうなるのか。
彼の未来は、まだ、わからない。
――――――――――――――――――
閲覧いただきありがとうございます。
事態が進み次第、小説にしていく予定です。
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