デデンデンデデン!~どっこい生きてる異世界の中~
ポンコツロボ太
プロローグ ソーナル平原の戦い
剣が鳴り、炎が走れば悲鳴が上がる。そのたび一人また一人と兵士が地面に伏してゆく。
大陸中央に広がるソーナル平原。そこでは人類と魔族、世界を二分する戦いが繰り広げられていた。
不死族を率いる真祖の
そして、その全てを従え神々に忌み嫌われ魔の
相対するは、人類の砦たる連合軍。ヒト族、エルフ族、ドワーフ族、その他多くの種族がその垣根を取り払い打倒魔王を掲げこの平原に全兵力を投入していた。
ソーナル平原は、瞬く間に人間達の血で赤く染まった。数こそ連合軍が圧倒しているものの、魔王率いる魔族軍は個々の力が圧倒的に高かった。
ヴァンパイアが死に逝く兵を手駒とし、ジャガーノートが戦場を駆け巡る。エルダージャイアントの一歩で兵が数百と息絶え、デーモンロードの広範囲魔法で周囲数百メートルが焦土化した。
連合軍にも英雄と呼ばれる猛き者たちがいる。しかし、彼らをもってしても被害を最小限に抑えることしかできないのが現状であった。
連合軍を率いた将軍たちはその圧倒的な戦力差に絶望し撤退を余儀なくされていた。
その時一人の男が戦場に降り立つ。
その男、盾も鎧もおよそ防具と呼べるものは身に付けておらず、その装いはシャツにラクダ色の腹巻きのみ。そして、なぜか背中に赤子を背負い無手であった。
「デンだ!」「デンが来たぞお!!」
なぜかその男の登場により士気の下がっていた連合軍に活気が戻る。兵士の中には「勝った」と安堵する者さえ現れるほどだ。
「死にたくない奴はデンの前をあけろー!!!」
一人の兵士がそう言うや否や、赤子を背負う男が目の前の魔族に拳を繰り出す。
その拳圧のすさまじさよ。
大地を割り前方の魔族のみならずその後方数百の敵をすりつぶす。
「ガハハハ!!」
男は高らかに笑うと敵陣中央を目掛け単騎で駆け抜ける。行く手を阻むヴァンパイアも獣人も巨人も悪魔も全てを一瞬でなぎ倒し、魔王ゴルドールの元へとたどり着く。
その瞬間――
魔王と男の拳が激突する。その衝撃だけで周りの者たちは跡形もなく消し飛んだ。
しばらく激しい打ち合いが続く。両者の力は互角、拮抗する攻防にしびれを切らした魔王が真の力『魔剣ゲルニカ』を顕現させる。
魔王は顕現した魔剣の力を確かめるように軽く振る。
たったそれだけでソーナル平原の大地は大きく両断された。これが触れるもの全てを切るといわれる魔剣ゲルニカか……
それを魔王渾身の力をもって男に振り下ろす。
男は、それを避けるでもなくただ仁王立ちで迎え撃った。
ガッ…………ィィィィィィイイイイイイイイインッ!!
衝撃波と共にこの世のものとは思えないほどの大きな金属音が戦場に鳴り響く。周りにいた者はその衝撃波で死ぬか、生き残った者は鼓膜を破かれ地面をのたうちまわる。
魔王必殺の剣を受けた男は――
なんと男は額で魔剣を受け止めていた。額から血は流れるものの皮一枚で止めている。
「きゃっきゃっ」
背負う赤子が楽しげに笑う。それにつられるように男も大口を開けて笑った。
「ガハハハハ。ワシに傷をつけるとはなかなかやりよるのお。褒めちゃるわい」
そして魔王サタンも笑った。
「アーハッハッハッハッハ!!
それを聞いて男は――
ドゴッ!!!!!
魔王のどてっ腹に拳を突き立てる。
「ワシが褒めちゃる言うとんじゃ!!」
「ぐふっ!!」
魔王は体をくの字に曲げ悶絶の表情をうかべる。なんとか耐えると魔王も不敵に笑ってみせる。
そして次は自分の番と魔王が大きくカーブを描くように腕を振る。
魔王の渾身のフックが男の頬に突き刺さる。
ズパーーーーーーンっ!!
衝撃が反対に突き抜け、大地と兵たちが巻き込まれる。
「余が褒めてやると言ったのだ。黙って賛辞を受け取れ」
一瞬ぐらつきはするが男は首に血管を浮き上がらせその場で魔王の攻撃を耐え抜いた。
「ぺっ!」
男は血と砕けた歯が混じった唾を地面に吐く。
「ガハハハハ。ようもワシの歯ぁ折ってくれたのお。礼じゃ!!」
バッゴーーーーーン!!
魔王と同じ軌道で拳を放つ。
やはり衝撃により大地と兵たちが巻き込まれ無残に散っていく。
魔王はよろけながらも何とかその場に立ち止まった。
「ぺっ!」
魔王も歯が折れ、血の混じった唾を吐く。
「余からも礼だ、受け取れい!!」
バゴーーーーン!!
拳の応酬。防御無視の殴り合い。
ドゴーーーーーン!!
ベキッ!バキッ!ゴン!ザズン!!――……
こうして二人の男の意地の張り合いと殴り合いは三日三晩続いた。
そしてそれに巻き込まれまいと魔王軍、連合軍両軍共に三々五々解散と相成ったのが、のちに語られる人魔大戦最後の
――――――――――――
はじめまして。ポンコツロボ太です。
プロローグは、こんな感じで戦ってますが次からはほのぼの日常物語がはじまります。
戦う場面は、あまりないのでご注意下さい。
20話くらいまで読んでもらえれば、どんな物語を書きたいのか分かってもらえると思いますので、余裕のある方、興味のある方はどうか気長に付き合ってください。
そして、お気軽にコメントしてください。
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