第38話 三人SIDE:自由最高
「ギルティの爺さん、大丈夫か?」
「久々に体を動かしているが、どうにかなる物だな」
「ギルティ様、余り無理……」
「ハロルド、グルマン年寄り扱いしないでくれ。あと様は要らんよ! もう同じパーティ仲間じゃないか?」
私の名前はギルティ、元はルーランドで大臣をしていた。
だが、身内びいきのハインツ王に嫌気をさして野に下った。
これでも若い頃は魔族の討伐に加わった事もあるし、子供も巣立った。
だから着の身着のままに自由に生きられる冒険者になった。
尤も、金は充分にあるからな……本当に自由だ。
そして、近くの冒険者ギルドに行くと……ハロルドとグルマンが居た。
ハロルドは元騎士団総長、グルマンは宮廷魔術指南役……そして偶然にも私は、大昔、戦線に立っていた時はヒーラーだった。
なら、話は早い……私達三人は『古き良き日々』という名のパーティを組んだ。
だが……
「皆さん、今日もゴブリンですか?」
「いや、今日はもう少し上のオークも狩ろうと思うぞ」
「「そうですな」」
「お爺ちゃんたちには本当に助かっていますよ! 皆さん、ちょっと強くなるとすぐに大物狙いになるんですから……ギルティお爺ちゃんもハロルドさんにグルマンさんも頑張ってくださいね! 応援していますからね」
私達三人は元の身分を隠し、新人冒険者の振りをしている。
爺さん1人に中年のロートル2人の駆け出し冒険者として今日も働く。
言い方は悪いが『金なら充分ある』
それならば、良い獲物は他の冒険者に譲り、農民を困らせる、ゴブリンやオークを狩るのが良いかも知れない。
誰にかしずく事も無く、自由気ままに生きる。
これがなんと素晴らしい事か。
「リザちゃん、爺さん頑張るぞ」
「俺もいっちょ気合いれるか」
「そうですね、今日はオークの20も狩っちゃおうかな」
「本当に皆さん、無理をしないで下さいね」
「「「ああっ」」」
農民や市民の為にいっちょ頑張りますかな……
◆◆◆
今日の戦果はオーク16にゴブリン5、まずまずの戦果だ。
これで金貨8枚に銀貨5枚(約85万円)結構なお金になる。
そして、私達は……酒場でエールを飲んで、肉を食っている。
「しかし、こう言う生活本当にいいなぁ」
「ええっ本当に……」
ハロルドにグルマン、そして私も、お金も名誉もあったが自由が無かった。
王宮ではなく街で自由に生きる方が……楽しい。
「それじゃ、これ飲んだら、色街でも行くか……」
「ギルティ爺さん、本当に好きだな」
別に娼婦を買う訳じゃない。
女性が酌をしてくれる店に行くだけだ。
「今は本当に自由だからな……」
「それじゃ、行きますかね」
「それじゃ、このエールをグイッと飲み干しますか?」
義を尽くしてくれた隼人をぞんざいに扱ったんだ。
もう王や国に対する忠誠は無い……
もう、私達には首輪も鎖もない。
『自由最高』だ。
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