第35話 吹っ切れた。 今日は何をしようかな
怠惰な生活を送っていたせいか……今じゃすっかりと味覚が戻った。
少し前のヤサグレていた状況が嘘のように思える。
何を食べても美味しくない。
世の中なんてどうでも良い……
そう思って、まるでどこぞの小説のハードボイルドを気取っていた俺が……こんな幸せな毎日を送れるなんてな。
なんて事は無い……一番のガキは俺だった。
『美味しい物が食べられて信頼できる相手がいる日常』
そして、その相手が自分が愛し愛される相手なら尚良い。
貴族籍に権力に名声。
そんな物は要らなかったんだ。
この世界じゃ勇者だけど、元は只の学生。
召喚されて血迷っていただけで……そんな物は必要ない。
ただ、平和な世界で楽しく過ごせればそれだけで良かったんだ。
今が幸せだから……あの時死ななかったからこそ言える事だ。
あの時から『関わらない』そう思っていたが……心のどこかで恨み、心を閉ざしていた気がする。
だが……今はもう、そんなのどうでも良い。
あの時、俺はメリルが好きだった。
セクトールがこの世界で唯一の親友だった。
好きの反対は嫌いだと思っていたが……
違ったようだ。
好きの反対は……無関心。
もう、あいつ等の顔もおぼれ気しか思い出さない。
された事は覚えているが、もうどうでも良い。
『一切あいつ等を気にしないで過ごす』
それだけで……もう良い。
室内のベランダみたいな空間にある、小さな露天風呂に三人で浸かり星空を眺めながめた。
俺が前に居た世界以上に明かりが少なく、星が綺麗だ。
まさに満天の星だ、海の波がザザーン、ザザーンと心地よく聞こえてくる。
月明かりの中で見る、美沙姉と静香の裸体は何とも綺麗で神秘的だった。
ここだけ切り取れば、異世界じゃなくまるで日本だ。
美沙姉の顔立ちは日本人的で、静香は……ボーカロイドか日本のアニメヒロイン……
異世界じゃなく二次元に彷徨い入ったように思える。
つい、そのたわわな胸に手を出しそうになるが我慢して二人の肩を抱き寄せる。
「星が綺麗だな」
「綺麗ですね」
「綺麗です!」
今の俺は幸せだ。
だから……恨みなんてどうでも良い。
ついでに魔王なんて……知らねーよ!
裏切られて、死に掛けて……前の世界に帰りたい。
いつも、そう思っていた。
だが、今は……この世界に来てよかった。
そう思えるようになった。
『楽しいぞ』異世界…….
◆◆◆
露天風呂を上がり、夜食の夜泣きうどんを食べてきた。
この宿はオールインクルーシブ。
食堂に行くと、自分で作るうどんまであった。
勿論、食べ放題。
俺と美沙姉は1杯ずつ。
静香は……まぁ10杯も食べていた。
ついでに夜喉が渇いた時の為、冷たい水も汲んで来た。
そして……部屋に戻ってきた。
本当に此処までやるのか……そう思う程に部屋が日本みたいだ。
前の世界のように灯り調整ができる。
豆電球並みの明るさにすると、何とも言えない雰囲気になる。
畳の部屋に仲居さんによって敷かれた布団が敷いてある。
浴衣の帯をシュルってほどき、前がはだけた状態で二人が女豹のようにこちらにやって来た。
豊満な胸がこぼれるように揺れる。
腰も丸く……その肢体に目が奪われる。
「隼人ぉ~今日はこれから楽しむんだよね? 今晩は眠らせないわ」
「隼人様ぁ~静香も準備万端です! 明日の朝まで頑張りましょうね!」
「おいで……」
2人を布団に招き、そこからお互いの体を貪るように……体を重ねた。
◆◆◆
テラス席のソファーに座り、グラスに水を注ぎ一気に飲み干した。
気がつくともう朝陽が登ろうとしている。
海から昇りつつある朝陽が凄く綺麗だ。
近くの岩とあいまって、本当に日本みたいだ。
2人は、満足した様に眠っている。
勇者のスキルやポーションを駆使してようやく勝てるようになった。
性欲が旺盛な彼女って、最高だよな。
ありとあらゆるテクニックで満足させてくる。
もう、お互いに触ってない所はない。
手じゃなく舌で……
海鮮も食べたし……温泉も堪能した。
プールも楽しんだ。
『今日は何をしようかな?』
朝風呂でも浴びて来るか……
その後は、二人を起こして……モーニングブッフェだな。
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