女子高生探偵~消えた「優子ちゃん」の謎~
みららぐ
①
「だれ?“優子ちゃん”って」
地元の小学校のささやかな同総会会場の居酒屋で、当時同級生だった女が怪訝そうにそう聞いてきた。
だけどまさか“優子ちゃん”についてそんなことを言われるとは思ってもみなかった俺は、ビール片手に当時の“優子ちゃん”について話し出す。
「ほ、ほら居たじゃん!小3の時に転校してきた女子でさ、髪が長くて大人しめで、放課後は毎日音楽室でピアノ弾いてんの!」
しかし、俺がそう説明しても、目の前にいる女は「いたかな?そんな子」と首を傾げる。
当時、俺たちが通っていた学校は、地元とにある村の小さな小学校だった。
元々村の子供が少ないから小学校の全校生徒も経ったの十数人ほどしかいなくて、俺の学年は3人ほどしかいなかった。
そんななか、ある日珍しく“優子ちゃん”という女子生徒が転校してきたのをきっかけに、元々そのクラスに居た俺たちは凄く喜んだのを覚えてる。
でも、“優子ちゃん”は当時から少し変わった子だった。
物静かでほとんど言葉を発さず、決まって給食の時にはクラスにはいない。
放課後のピアノは音楽室で長時間練習していたようで、俺たちも優子ちゃんがどれくらい毎日練習していたのか全く知らない。
いや、それどころか、そんな優子ちゃんの存在すら「知らない」と言った目の前の同級生たちに、俺は最も驚かされた。
都心部の同級生であればそもそも子供もたくさんいるし「知らない」と言われれば「仕方ないか」と思うかもしれないが、なんせこの田舎だ。
ただでさえ少なすぎる子供の数なのに、「知らない」のはおかしい。
おかしすぎる。
だから俺は、当時の「優子ちゃん」のことが物凄く気になって、その日は真っ直ぐ実家に帰って、小学校の頃の「卒業アルバム」を探して開いてみた。
するとそこには、俺の中には小3の頃には確かに居たはずの「優子ちゃん」の姿が何故か一切見当たらなかった。
……という話を、数日後の月曜日に俺が教師として通っている高校の“女子生徒”に話していた。
「…なるほど。それは奇妙ですねぇ」
「だろ?だから俺、どうしても“優子ちゃん”のことが知りたくて」
その女子生徒の名前は、佐竹詩音という。
現在高校2年生。
この学校も同じく田舎にある故全校生徒も50人とかなり少ない。
そのため部活動の種類も絶望的に少ないが、そんななか彼女が学校に内緒で立ち上げたのがこの「探偵部」だ。
佐竹さんは元々アニメや漫画、ゲーム好きのためその影響で今は「探偵にハマっている」という。
よってこの探偵部を立ち上げたのも某探偵漫画にハマっているからだそうで、まぁ彼女は正直学校の成績は全体的に良くない…むしろ毎回追試を受けているくらい悪いが、現在はたまたまそんな勉強が苦手な彼女の為の数学の補習中だ。
集中力が切れてしまった佐竹さんが、「先生、何か面白い話してくださいよ」なんて言うから、俺はついこの前の同総会で起こった“優子ちゃん”の話をしてしまったのだ。
だが、時間ももうすぐ18時となってしまった。
俺が数学の補習に戻ろうとすると、それを遮るように佐竹さんが言った。
「先生、」
「うん?」
「私、その“優子ちゃん”の謎を解明してあげますよ!」
「え、」
彼女はそう言うと、何とも可愛らしい笑顔でニッコリ笑った。
「…佐竹さん…」
しかし、俺がその言葉に少し感動していると、直後に佐竹さんが言う。
「だからその代わり、数学の足りない分の単位たっぷりくださいね♡」
はい、交渉成立。私はお先に失礼します。
俺が頷く前に彼女がそんなことを言って椅子から立ち上がるもんだから、俺は慌ててその腕を掴んで引き留めた。
「あほかっ。それはそれ!これはこれだろ!」
「けち!」
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