彼女に「束縛はやめてください」と言われたのでヤンデレをやめて推し活を始めようと思います
ミナトノソラ
第1話 彼女からの拒絶①
俺は俗に言うヤンデレと言うやつかもらしい。ふとある日友人から言われたヤンデレという言葉。
よく俺はネット小説を読むのだがラブコメジャンルにおいて不動の人気を誇るのがヤンデレである。
俺も好んでよく読んでいる。ネット小説のランキングってほとんど同じ人が上位に入っているイメージがある。
まあそれはしょうがないだろう。ある程度書籍化されていたり、サイト内で知名度があれば沢山読まれるに決まっている。
だって彼らが書く作品はほぼ間違いなく面白いのだから。
ってまあこんな話はどうでもいいか。
俺の認識ではヤンデレという恋人に対して常軌を逸する愛情と執着心を持つ属性は女の子にしかいないと思っていた。
だって俺の読んできた小説はいずれも女の子がヤンデレだったから。
あくまでラブコメディーとしてヤンデレを楽しんでいた俺にとって友人から言われた『お前はヤンデレかもしれない』というカミングアウト。
束縛、嫉妬、監禁...そんなことをした記憶...はないけどよくよく思い出してみたら紛いのことはしていたかもしれない。
もう既にほとんどの人は察しているだろうが一応報告すると俺にはガールフレンドがいる。
直訳の女の子の友達という意味では無い。正真正銘恋人としてのガールフレンド。
俺が2年生へと進級したと同時にうちのクラスに転校してきた宇都宮糸さん。
糸、という可愛い名前だが彼女は綺麗系の美人だ。
俺は一目見た瞬間に一目惚れし、数え切れないアタックの末、告白し無事付き合うことになった。 俺と糸さんが付き合ったという話は学校中にあっという間に伝わり今では知らない人の方が珍しい程になっているだろう。
かれこれ糸さんと付き合ってから4ヶ月程が経過した。
4ヶ月の間にデートは数え切れないくらいやったし、手を繋いだり腕を絡ませたり、キスやそれ以上のこともやった。
どれも最高の思い出だし最高に楽しかった。絶対に忘れることは無いだろう。
「幹也、今日カラオケ行くけどどうせお前は来ないだろ?」
「ああ、すまん。今日も送らないと」
放課後はいつも糸さんと二人で帰っている。別にどこかで約束したわけじゃない。
だけど恋人と学校以外でも一緒にいたい、っていう気持ちは普通だろ?
それに女の子を一人で歩いて帰られるなんて何が起こるか分からない。最近は不法難民が増えてレイ〇魔が増えているとも聞くし。
「だろうなー。ちゃんと送って帰れよ」
「当たり前だっ」
「おう、じゃあまた明日な」
友人はそう言うと何人かの友人と共に教室を出ていった。今日は月曜日だからほとんどの部活が休みだからな。
遊ぶには持ってこいの日なわけで皆で遊ぶのだろう。
「じゃあ俺も帰るか...糸さんは...」
糸さんの席は廊下側の1番前の席、窓側1番後ろの席である俺にとって彼女の見つけることは造作もないことだ。
「あれ...?」
先程のホームルームまでは絶対にいたのに今は糸さんの姿が見当たらない。机の上に荷物はあるから帰ったわけじゃないだろうけど。
トイレにでも行っているのだろうか。それなら別にいいのだが、なんだか胸騒ぎがするんだよな。
それに糸さんがいつも一緒にいる女の子たちは皆教室内にいる。トイレに行く時はみんな一緒に行ってるはずなのに...。
とりあえずトイレの方に行ってみるか...
俺は自分と糸さんの分の荷物を持つと女子トイレの方に向かう。うちの学校は何故か男子トイレと女子トイレが離れてるからな。
男の俺が女子トイレの方に向かってるのは色々と誤解を招きそうだがそんなことは気にしていられない。
この胸騒ぎの原因を突き止めなくては行けない。
「まだか?」
女子トイレの前で待つこと5分。糸さんはなかなか出てこない。
男が女子トイレの前で立っているのだからトイレに入っていく女子たちからは冷たい視線が幾度となく送られたけど気にしてない。
何より糸さん、糸さんが最優先。
「あ、いたいた上林くん」
「え……近藤さん?」
突如話しかけてきたのは糸さんの友人である近藤さん。
糸さんには及ばないものの人気がある女の子だ。
「上林くんに一応伝えておいた方がいいと思って」
「何を?」
「糸のこと」
「糸さんに何かあったの?」
「何かあったって訳じゃないんだけど、今屋上で告白されてるんだって」
「……は?」
告白ってあの告白か?誰かが自分の好きな人に愛を伝えるあの告白か?
糸さんは俺と付き合ってるってみんな知ってるはずなのに。
そもそも男と話すかもしれない時は全て俺に報告してからって約束してるはずなのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます