第44話 王都への旅立ち、誤解だらけの序章

王都からの使者に招かれ、俺たちはついに次の舞台――王都へ向かうことになった。北の街では出発の日、朝から鐘が鳴り響いていた。人々が見送りに集まり、またしても花と涙と誤解に包まれている。


「英雄様、どうか王都でも神話を刻んでください!」

「いやもう刻まなくていい! むしろ削っていきたいんだけど!」

――《解析:マスターの“伝説抑制スキル”は未実装です》

「追加DLCかよ!」


馬車に乗り込むと、街の外まで続く人の列。みんな「勇者様~!」と叫びながら見送ってくる。

「なんで葬式みたいな雰囲気なんだ……?」

「勇者様が神々の世界へ旅立つと思ってるんです」薬草少女が微笑んで言った。

「俺まだ死んでねぇよ!」


道中、行商人がまたやってきて、俺の木札グッズを見せてきた。

「新商品、“神砕きバッジ”できました!」

「早ぇぇぇ! 生産ラインどんだけ優秀なんだ!」

――《補足:量産体制確立。王都流通ルート開拓中》

「広げんなぁぁ!」


旅の途中、俺たちは小さな村に立ち寄った。そこでもすでに俺の噂が広まっていた。

「神を砕いた勇者が来るって聞いたぞ!」

「まさか本物!?」

「いや違うって! 誤解が先に歩いてる!」


村の子どもたちは俺を見るなり土下座してきた。

「す、すみません! 昨日、石を投げて遊びました!」

「いいんだよ! 別に俺の専売特許じゃないから!」

――《補足:村単位で“投擲祭り”開催中》

「祭り化すんなぁぁ!」


焚き火を囲んでの夜。薬草少女は、例のノートにまた何か書き足していた。

「次の章は“王都編”。章題候補は“神殺し勇者、王に謁す”です!」

「なんでタイトルがどんどん宗教書っぽくなってんだよ!」

「あと、副題は“胃痛、止まらぬ”にしますね」

「やめろぉぉぉ!」


王都に近づくにつれ、空気が変わっていった。道は整備され、衛兵たちが厳重に警備している。巨大な城壁が遠くに見え、白い塔が天に伸びている。まるで絵本の中の世界のようだった。


「……おお、これが王都……」

「英雄様、いよいよですね!」薬草少女が嬉しそうに言う。

「いや、俺にとっては胃の最終戦場だよ……」

――《解析:王都到着イベント発生。誤解Lv:国家規模》

「そのレベルいらない!」


城門の前ではすでに人だかりができていた。王都の民たちが俺の馬車を見るなり歓声を上げる。

「神を砕いた救世主だ!」

「勇者様が来たぞ!」

「胃弱の英雄が降臨した!」

「最後のやつやめろ!」


行列の先では、王国騎士団が整列し、王の使者が高らかに宣言した。

「偉大なる勇者よ、王がお待ちです!」

「いや、俺まだ準備できてないんだけど!」

――《補足:次イベント“王の謁見”発生。フラグ100%確定》

「またフラグ立てやがったな!!」


こうして俺たちは、さらなる誤解と混乱の渦巻く王都へと足を踏み入れた。

胃の鼓動が、今までで一番うるさく聞こえた。

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