ことばのジュエルボックス

月森澪羽

リボン 

月影の森に

ひとすじのリボンが結ばれていた。


絹のごとく透きとおり

星をひとつひとつすくいあげ 

夜の静寂にそっと零してゆく。

 

風が触れると

結び目からは祈りがほどけ

かすかな歌が胸の奥に響き

消えてもなお

余韻の影をとどめる。


そこに立つ者は

ただ息をのむばかり。

指先を差しのべるには

あまりにも儚く

あまりにも美しかったから。


誰も知らない。

天空の深みにて

そのリボンはいまもなお揺れつづけていることを。


夢と夢を

ひそやかに

そして永遠に結びあわせるために。

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