転生してやっと現代に戻ってきたのに、巻き込まれて異世界召喚とかまじふざけんなっ!〜誰か俺に穏やかな日常をください〜
深山 蓮
1章:異世界転移編
第1話: I Love Japanese.
皆のもの、お前らは何が好きだ?
ポテト?おいおい、やめとけニキビできんぞ。
女の子?あぁ、まぁ男の性だよな、そいつはしょうがねぇ。
そうそう、勿論、日本だよな?知ってる知ってる。日本=平和みたいなもんだから。
——ていうか、お前誰だろって?
さて、遅くなったことを詫びよう。少しふざけた導入になってしまったが、俺の名前は、
ん?()が見えた?
——ははっ、気のせいだろ(圧)?
そう、そんな平凡な男子高校生な俺だが、実は少しだけ、人と明確に分けるものがある。前世と前前世の記憶だ。うん、実は人生3回目なんだ。
嘘だって思ったろ?これが嘘だったらどれだけ良いか、俺も消せるなら消したいんだがな、残ってしまったものは仕方がない。
今は、話が無駄に長い小林先生の授業だから暇つぶし程度に話してやるよっ。
聞きたくない?ごめんなさい、聞いてください。いいよって?ありがとう!
1回目の人生は割と一生懸命生きたと思う、有名企業の社長息子として生まれて、様々な教育を施され、親の期待に応え、妻を貰い、会社を大きくして、不況な時は慈悲活動をしたり、流行り病の特効薬の開発援助をしたり、結構な功績を残して、寿命で死んだ。そして意外に思われるかも知れないが、この時はまだ日本の事が好きじゃなかった。有能な奴の足を引っ張りやらかす無脳どものが多い政治家、民主主義なのに義務を放棄し、変革を起こさない国民、あぁ、勿論、俺が会社を大きくするのに邪魔してきた個人的な恨みを、少し大きい主語を使って言ってるだけなんだが。
まぁ、誰もが似たような事を思うだろ?見逃してくれよ。
そして、続く2回目の人生。生まれた先は異世界だった。初めは少しテンションが上がったさ。娘がハマってたジャンルだったからな。そんで、高位貴族だったし、魔法も剣も才能あったし、前世の容姿も頭も丸々持ってきてるし、『俺、最強じゃね?』ってなるわけよ。
今から現実を言うから、覚悟しとけよ。
高位貴族に生まれて優秀だと、王様から目つけられんのよ。まぁ、宰相とか押しつけられるわけね。宰相ってのわさ、王様の代わりに政治を動かす訳で要は、一人で府省の指揮管理とるようなもんな訳で『はーい、社畜様ご案内〜。』マジで、歴代宰相を尊敬したわ。つまり、社畜は転生しても社畜だな。お前、社長だろって?社長こそ、社畜に決まってんだろ?何言ってんの?
そんでそれだけじゃないわけよ。俺は貴族だったわけで、他の
婚約者は良いとこのお嬢さんな所為で『本当に私のこと好きなの?寂しいわ。』とか頭抜けたこと言いやがるし、寝る間も惜しんで、時間を作ったのにも関わらず、結局、不倫するし、俺の妻を見習えよって言いたかった。
剣と魔法はどうしたって?
あぁ、したさ、冒険を。若い時は、それこそ、剣と魔法で無双してたさ。
だが、あれを楽しめるのは、初めのうちだけだ。強い敵との接戦なんて、人生で3回できたら良い方。だって死んだら終わりだし、倒したら、それ以上の魔物なんて生態系的により少なくなる。にも関わらず、大陸は限りがある。
その他にもお前らが期待する、冒険で出会う仲間達、言っとくぞ、エルフも獣人、ドワーフも結局のとこ亜人って事をな。俺達の世界を見てもらえば分かる通り、人種によって変わるのは見た目だけじゃない、言語やら、習慣やら、考え、衣食住も違う。
言いたいのは、同じ日本人でも価値観に差異があって、それを種族単位で見たときに上乗せされる。
つまり、夢に見る、エルフ、ドワーフ、獣人、全部、戦争してましたわ。
観光なんてできません。あそこは紛争地帯でした。
冒険に出る奴なんておりません。親多種族派、言い換えるとみんな仲良く派は、内部で暗殺されてましたわ。
そして、最後に持ってくんのは、『飯!!』
生態系が違いすぎんのよ。普通の動物なんて育つ環境じゃなくて、もっぱら魔物。
豚に似ていようが牛に似ていようが、鳥に似ていようが、卵に似ていようが、食えたもんじゃねぇ。何故なら、魔物は肉食だから!!
向こうの人間は慣れたもんでも、日本人の感性を持ってるとキツすぎる。
死因は何だったのかって?
…世の中には知らなくてもいい事もあるんだよ。(自殺)
おいっ!『()、言うんじゃねぇよ!』
——ほら、俺を殺せる奴なんていなかったし、魔力が多いせいで長生きするとか言われてみろよ。仲良い奴は勿論いたし、嫌だけだったわけじゃないが、軽く絶望したんだ。
さて、自死する事で、見事掴んだ、日本への生。
俺は大変、享受している。
異世界を経験してから戻る日本の快適さは異常。俺はもう、日本以外では生きられない。I Love Japanese. そこに大層な理由はないのだ。俺はもう、一歩も日本から出る気はない。
生まれて初めて母の顔を見た時は、心底安堵したね。日本人顔で。
そして同時に決意した『今度こそ、平凡でよくある系の日常を謳歌してみせる!』と。目指せ、『⚪︎中君はいつも気だるげ』並みの日常感。
そして今日、窓から心地よい風が吹くのを感じる。午後15時、後3時間程で学校も終る。バイトやら部活をして家に帰る幸せと言ったら。学生最高ー!
「おいっ!?なんだこれ、床が!!」
「キャァーーーー!?」
「皆!落ち着こう!きっ——」
俺は全力でダッシュした、目指すは『廊下』。見れば分かる魔法陣だ。こんなもの平和な日本にはない。
真ん中の列の一番後ろなので、閉まっている窓側に行くより、開いているドアへ向かうべきだと考えたからだ。嘘、本能だ。この状況の打開策を本能で感じるがままに行なっている。
——あと、一歩。
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