第17話 ストレスの火種
茅野とメッセージのやり取りを終えた後、俺は朝食を食べ登校の準備を始める。
簡単な筋トレとシャワーを浴び、制服を着て家を出る。試験期間中という事もあり、早朝の朝練がない俺は、少しだけ疲労感が取れた身体で学校へと向かう。
通学路。学校が近づき生徒の姿が増えてくると、好奇心のこもった視線が俺の事を刺すように増えてくる。
内容は分からないが、茅野が言っていた「真昼ちゃん」という女の子と俺の噂が原因なのかもしれない。まぁ気にはなるが、実害がなければ俺にできる事は特にない。そんな事を思いながら校門をくぐる。
前方には
茅野とは今朝、メッセージで「また学校で」とやり取りを交わしたばかりだが。
まぁ幼馴染と言っても常日頃一緒の訳ではないから、さほど不思議ではないのだが。今朝のやり取りを思うと少しだけ気になった。
――なんかあったのか。まぁ女の子の事だし深追いはできないか……。
そんな事を考えつつも、前方の幼馴染二人に意識を向ける。
――それにしても本当に仲が良く見える。
肌と肌が触れ合う。という程の距離感ではないが、それでも二人の距離は近い。
佐藤湊の一歩後ろを甲斐甲斐しくついて歩く一色萌。
「なぁ、萌~」
佐藤湊が一色に話しかける。
「今日、椎奈休みなんだろ?」
「うん。今朝、しいちゃんからメッセージきてお休みだって言ってたよぉ。風邪とかではないから大丈夫だって」
一色は答える。
「そっか~。前まではグループのほうにメッセージがきてたのに。なんで僕には連絡ないんだろ~な。最近あんま話も聞いてくれないし。遊びにも行けてないよな~」
一色は一瞬考えてから答えた。
「わからないけどぉ。男の子には話しにくい事なんじゃないかなぁ??」
「幼馴染の僕に話しにくい事なんてあるわけないだろ~。萌のくせに適当な事言うなよな」
「もう。湊くん。幼馴染でも、私たちもう高校生なんだよぉ?女の子だし、色々あるんだよ」
「ちっ。分かってるよ!!」
怒鳴るほどではないが、それでも女の子を萎縮させるような声。
「……。湊くんごめん…」
そのまま一色萌は黙り込んでしまった。
――幼馴染二人で仲良く登校の一コマなんて思ったんだけどな。佐藤湊のやつ。あいつ舌打ちしやがった。
俺は恋愛ゲームのプレイヤーとしての記憶を持っている。一色萌本人への好意ではないとはいえ、思い入れのあるヒロインに対しての佐藤湊の態度に苛立ちを覚える。
真後ろを歩いていた俺は、ストレスの火種が胸に灯るのを感じる。変わらず俺の目前を歩く二人の幼馴染、佐藤湊と一色萌。そんな二人の関係にどことなく歪なものを感じてしまっているのだった。
まぁでも。冷たいようだが、俺には関係ないしな。茅野に飛び火するようだったら、俺も黙ってはいないが…。
「あっそうだ。大丈夫かどうか茅野にメッセージ送っておくか」
俺は一人そうつぶやく。この虫の内緒話のような独り言が、茅野椎奈の幼馴染二人の耳に届いていた事を、俺はついぞ知ることはなかった。
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