29話 再会
「「リアム!?」」
「なに、エリアス。お前、ツンデレなの?」
「うるさい!!!」
顔を真っ赤にして怒るエリアスを、俺はにやにやとしながらからかう。エリアスはそっぽを向く。その姿に、俺は笑みをこぼした。
ふと、カインの方に目をやる。カインは口を丸くして動けなくなっていた。しばらくすると、目に涙を浮かべて、俺に言う。
「すまない、リアム。お、俺は、お前を守れなかった」
「仕方ないさ。それに、俺の命令に従った結果だろう」
俺は肩をポンと叩く。カインは肩を震わす。が、決して涙はこぼさぬよう、天井を見上げていた。
「でも、どうして、あの状況から生きて帰れたんだ?」
エリアスは普段通りの様子をよそおいながら、俺に聞いた。俺はこれまでに起こった出来事を、ありのままエリアスに伝える。
「なにか裏があるな……」
「エリアスもそう思うか」
俺たちは2人、顔を見合わせる。だが、今はこんなことを考えていても仕方ない。俺には、倒さなければならない、強大な敵がいる。
「エリアス、お前の方は順調に進んでいるのか?」
「あぁ、任せてくれ」
「そうか……、難しい仕事だと思うが、頼んだ」
軽く会釈を交わすと、エリアスは俺の部屋から外に出た。
いよいよか……。
御前会議。
俺が【真理の灯台】と結んだ密約を公表するために開かれるその会議は、すでに明日にまで迫っていた。窓から月明かりがこぼれる。
ユスタキウス、貴様を断罪してやるよ……。
俺は、薄く笑みを浮かべていた。
◇◆◇◆
王宮の
その神聖な厨房に、足を踏み入れる男が一人。
エリアス。リアムの腹心であり、頭脳面をサポートしている人物であった。
「ジュリアス、どういうことだ!? リアムをヤッたんじゃなかったのか!?」
エリアスは、ユスタキウスの腹心の1人・ジュリアスの胸ぐらをガバッと掴んだ。黄金のたてがみが、ふわりと揺れる。
「まぁ、そう慌てるなよ、相棒。お前には、ふさわしいポストを用意してある」
「本当だろうな?」
「あぁ、お前がくれた情報のおかげで、あいつを追い詰めることができたんだ」
密書を奪い、カインとリアムが逃走したあの日。彼らがなにかを企てているということをリークしたのは、エリアスだった。そのため、宦官派は、迅速に対応することができ、リアムを殺すあと一歩のところまで、追い込めたのだ。
エリアスが宦官派であるジュリアスと手を組んだ理由。それは、エリアスが今後、政界に進出していく上で必要となるであろう「多額の資金」をもらうため。そして、成功次第では、政治的に重要なポストも約束してもらっていた。
ジュリアスは、人の心の内側に入り込むことに長けている。エリアスの不満を酒の席で聞き出し、密約を持ちかけ、リアムを裏切らせたのだ。しかし、これ以上の行動は、エリアスといえども、リアムから不信感をもたれかねない。エリアスは、ジュリアスに言う。
「なぁ、ジュリアス。俺から提案がある」
エリアスが口を開く。
「リアム王子を今夜、襲撃しないか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます