立ち会い

そのうちに父と母は自宅から離れたようで静けさが戻った。

このままでは父と母に殺されるのではないかという恐怖と変わってしまったことへの罪悪感と悲しさが込み上げてきた。

俺はどうするべきなのだろう、もう元に戻らないのだろうか、頭の中で考えが巡ってくる。


そして1日が終わり金曜の朝になった。

装備の再確認をした、父と母を迎える準備は出来ている。

もしかしたら乱闘騒ぎになるかもしれない、父と母以外にも人はいたが人相まではわからない。

人を傷つけたくは無いが相手が誰であろうといざとなったら殺るしかない、覚悟を決めた。


20時5分前、やはり銀色の衣を纏った4人組が敷地内に入ってきた。

手早く祭壇を作るとまたブツブツと何かを唱えながら歩き始めた。

箱に手を触れる度に箱が揺れる。

ゴトゴト、ゴトゴト、ゴトゴト、

玄関扉から覗いていると1人と目が合ってしまった。

無言で扉に向かって来たので直ぐに扉を閉めて鍵をかけようとしたが間に合わなかった。

扉を勢いよく開けられ殴り掛かってきたので、手に持ったスリングショットで相手の顔にパチンコ玉を打ち付けた。

鼻に命中し鼻血を出しているが痛みを感じていないのかなおも襲いかかってきてリビングまで押し切られて取っ組み合いになった。

ひたすら殴った、だが無駄のようで相手も殴り返してくる。

足を腹に入れ蹴り上げて突き飛ばすが直ぐに起き上がり両手を前に突き出して向かって来る。

頭に血が上り、腰に隠していたプッシュダガーナイフを右手で持つと向かってくる相手の頭に突き刺す。

引き抜くと頭から血を流しながら相手は倒れた。

衣を剥がすと相手は俺よりも10センチは高い大男だった。

玄関から扉を開ける音が聞こえる。

直ぐにリビングからキッチンに身を隠す。

先程の男よりは身長の低い男が入って来た。

手にはハンマーが握られている。

幸いキッチンは暗いのでよく見えていないようだ。

手早くスリングショットを構えると物陰から今度は金属の矢を放つ。

男の左肩に命中し突き刺さるが直ぐに抜くと投げ捨てた。

そしてキッチンに突進するかのように向かって来る。

さらに金属の矢を持つと男が突っ込んでくるので矢を直接太ももに突き刺した。

一瞬動きが止まったので直ぐ様矢を引き抜くと脇腹、胸、下顎から脳に刺したことで動きが止まった。

この男は首に二重丸の入れ墨がある。

先程の大男も同じ場所に同じ入れ墨があった。

何を意味するのだろうか。

父と母は何をしているだろうか、そっと窓から確認するがぼーっと立ち尽くしている。

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