第13話 処遇の対立

### 第13話「処遇の対立」


 境界守の本拠、石造りの広間には緊張が満ちていた。長机の周囲に幹部たちが並び、燭台の炎が壁に揺れている。篠森蓮の存在を巡り、議論が始まろうとしていた。


 アルマが口火を切る。灰金の瞳は冷たく、だが揺るぎない。


「篠森蓮は確かに主系波動を宿している。しかし、それを制御できるならば、我らの切り札となり得る」


 その言葉に、幹部の一人が机を叩いた。


「馬鹿な! 崩壊の主の欠片を手元に置くなど狂気だ。いつ裏切り、我らを滅ぼすか分からん」


 別の声が続く。「処刑すべきだ。早急に」


 広間にざわめきが広がる。蓮は扉の外で立たされ、その声を聞いていた。胸の奥の波がざわめき、拳が震える。自分は本当に人間なのか――その問いが頭を支配していた。



 ガランが立ち上がり、低く唸るように言った。


「処刑だと? 証拠もないままにか。俺はまだ信じきれん。あの小僧は戦場で竜を斃した。確かに危ういが、それは同時に武器になる」


 反論に幹部が鋭く返す。


「武器? 暴走したときに街ごと消す兵器をか? 愚かな希望にすがるのはやめろ」


 言葉が飛び交う中、イオが結晶を掲げた。冷たい声で告げる。


「観測結果は明白です。彼の波動は人の範疇を逸脱しています。……ただ、制御の兆しもあります。完全な処刑判断には早計かと」


 広間が静まる。皆の視線がアルマに集まる。


 アルマは短く告げた。


「観察を続ける。兵器としての利用も視野に。だが、制御不能と判明した時点で……処分する」



 議論の余韻が残る中、セラが密かに蓮のもとへ駆け寄った。彼女は瞳を揺らし、必死に囁く。


「聞かないで……あなたは人間よ。絶対に」


 その言葉に救われる一方で、蓮の胸のざらつきは消えなかった。扉の向こうから聞こえた声――処刑、兵器、欠片。そのすべてが、自分の未来を縛っていた。

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