第3話 合わせ鏡
「うちの鏡は三面鏡、ということで二つ目やっていきまーす」
∶合わせ鏡だね
∶未来の顔が見えるんだっけ?
∶とりあえずやばいのが見えるのはたしか
∶wktk
「意外にやり方は簡単なんだよね。こうやって……」
三面鏡の角度を合わせ、奥まで無限に続いているように見えるよう調整した。覗き込む自分の顔が、左右交互に無限に続いていく。
∶【速報】合わせ鏡成立
∶平和そうで平和じゃない速報なんだよな
∶なんか混じってないかな
「うーん……」
じっくりと目を凝らした。よし、異変なし。このまま進もっと。
∶目がチカチカしてくる
∶異変なしね
∶深夜でもだめかぁ
∶ん? あれ、ちょっと待って
と、視聴者の一人が何かに気づいたようだった。コメント欄を覗き込んで、佐久間は興味深そうに続くコメントを読み上げる。
「よくよく見てみたら一箇所だけ反射されずに顔が映ってない部分がある……? え、そんなとこあった?」
再び、合わせ鏡を睨んだ。
∶合わせ鏡楽しいよね、たまに変なの混ざってるの探すの楽しいし
∶終わりのない終わり、これこそが終わり
∶青ざめた顔とかないの
特に異変は見つからない。視聴者の気のせいだろうか。
佐久間は鏡から目線を反らし、コメント欄を見てみた。
∶は、なにこれ
∶やばいやばい
∶鏡見て鏡
∶なにこれ、般若?
「え、般若?」
再び鏡を見ても、何もない。ただ自分の顔が永遠と映っているだけだった。
「なんもないじゃん。どうしたの」
∶後頭部並んでた中の一つが般若だったんよ
∶後ろに般若のお面被ってる?
∶はにゃー……
「え、なんか怖いんだけどやめて?」
∶気の所為だと思いたい……
∶次行こうぜ
∶ビビってら、べ、別に俺は怖いってわけじゃガクブルガクブル
∶草
「……じゃ、ひとりかくれんぼするか」
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