ハイドアンドシークアローン 恐怖の佐久間ハウス
和紗レイン
第1話 配信開始
時は午後11時30分。マウスのクリック音が、静かな室内に響き渡る。その画面には、『ライブ配信準備』の文字が。
手元のカメラが赤く点灯する。ディスプレイには、そのカメラを通した景色が映し出されていた。
「……これで良いのかな?」
カチッ。配信開始の文字が浮かび上がって、画面上部の時計の数字が増えていく。
配信アカウント名は『紗乃佐久間』。
:こんばんわー
:はじめましてやね
∶初配信おつー
「こんばんは~。初配信です、よろしくお願いしま〜す」
∶なんて初々しいんだ…
∶こりゃ発掘か?
∶よろでーす
「同接10人。まあ、初めてにしては上出来なほうかな。それじゃ、配信始めてきます」
∶今日何やるの?
∶肝試しって聞いてるが
同接視聴者は10人だが、初めてで右も左もわからない自分に期待を寄せてくれていることにちょっと嬉しさを感じる。
「今日はね、なんか暇だからこっくりさんとかやろうかなって」
∶また懐かしいの持ち出してきたな
∶そーゆの山程見てきたからさ…
∶うん、なんかマンネリ
「実は私の今いる家にデカい神棚があるんだよ。その下でこっくりさんしてみたらどうなるのかなって」
∶デカい神棚?
∶どんくらいよ
「えーと、これね」
カメラを持ち上げて、佐久間は後ろにある神棚を映した。八畳の和室の端から端まである大きな神棚。社に紙垂にお供え物と、作りもかなり立派なものだった
∶は?
∶デカすぎんだろ
∶紙のやつそんな間隔で置くの?
∶見たことないそんな大きさ
∶部屋も広いし、よほどだな
「ね、デカいでしょ」
∶スピリチュアル
∶罰当たるぞ
∶ヤバいこと起きそうで不安。頑張れ
∶見届ける歯科内科
∶また珍しいシチュエーションで
∶やるのはこっくりさんだけ?
∶一人でやるんかな
「あー……。どうしようかな、一応今一人だから出来るやつは出来るけど」
∶一人かくれんぼとかどう
「あの、ぬいぐるみのやつ?」
∶一人かくれんぼはまじでやばい
∶面白くなってきた
∶ぬいぐるみのやつね
∶丁度いいんじゃない?
「ちょっと待ってね、やり方調べる」
佐久間はスマホを手に取って検索サイトを開いてみた。一人かくれんぼのやり方をよく知らないため、いざやると言われてもどうすればいいかわからない。
∶ぬいぐるみに米詰めて、赤い糸で縫うんじゃないっけ
∶そそ。その後塩水浸した桶に入れて、電気消してテレビつけて隠れるの
∶ぬいぐるみに名前つけたりとか刃物で刺したりとかせんとだめだから
∶最後燃やすんだよね
「あー……。おけ、大体わかった」
スマホでやり方を見ながら、佐久間は頷く。
∶せっかくだから合わせ鏡もやろうぜ
∶心霊てんこ盛りか
∶佐久間大丈夫かなそれ
「ああ、私なら大丈夫よ。というか元々この家曰く付きだし、心霊現象とか割と頻繁に起きるから」
∶リアルで草
∶例えばどんなん?
「お茶のポットが落ちたり、庭の水道が誰も構ってないのに開けっ放しになったり、あと時々誰もいない離れで音が鳴るんだよね」
∶ガチのやつやめい
∶予想通り立派な家か、よし頑張れ(多分ヤバそう)
∶見守ってるよ(逃避)
∶平然と言うな、怖すぎて昼しか眠れなくなるだろ
∶↑昼夜逆転ニキいるやん
「合わせ鏡もやろうかな。豪華三本立て」
∶ドキドキ……土器土器……
∶こういうのでいいんだよ、こういうので
∶佐久間さん頑張って!
∶安心してくれ、死ぬときは見届ける
「それじゃ、まずこっくりさんからやろうか」
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