ゾウの肩書き

「ゾウさんって、大きくてカッコいいよね」


当たり前なんだけど、やっぱり目の当たりにすると大きい。

デカさってやっぱり、カッコいいよね。


よく見ると、つぶらな瞳が可愛いかったりもする。



「ゾウさんって、愛らしくもあるよね」



ゾウは柵の中で、ゆっくりのんびり歩いてる。

その姿がとても癒される。ずっと見ていたいって思ってしまうくらい。一緒にい暮らしたいって思っちゃうくらい。



これだけ大きいと、『陸の王者』っていう風格をしているんだけど、ゾウには肩書きは無いんだよね。


確か、カバが『水辺の暴君』。

ライオンが、『百獣の王』。


凶暴性が見えたりしないと、肩書きってもらえないのかな?



草食な像は、食物連鎖のピラミッドの下の方って言うし。

ゾウさん。強くて頼もしいって思うのに。


私は彼に提案してみる。



「ゾウさんの肩書きを考えてみよう!」


「いきなりどうしたの?」


「ゾウさんが報われる世界があっても良いと思うんだよ。大きくて、強そうなのに。私たちで、世界を作ろう!」



そういうと、つぶらな瞳をパチクリ瞬いて、驚いているようだった。


身長が高くて、優しそうな雰囲気のある彼。

草食系でのんびりしているから、なんとなくゾウさんと似ている気がしてきちゃう。


私がゾウさんを好きなのも、納得いくかも。


彼も能力があるのに、なかなか会社に認められないんだ。

肩書をもらえない平社員。


そんな世界なんて、やっぱり違うと思うから。



「私、思いついた! ゾウさんみたいな、君の肩書き!」


「はい? 俺の肩書き?」



「うん。君の肩書きは、私の将来の旦那様!」

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