Track3 放課後。君と一緒にお勉強



○駅前のカフェ・テーブル席(昼)

広町美桜と聞き手が向かい合って座っている。


//BGM カフェなどで流れている静かめの曲

//SE シャーペンの芯を出す音

//SE 文字を書く音

//SE ノートのページをめくる音

//SE 文字を書く音


「……ん? もしかして分からないところあった?」


//SE 美桜が少し身体を浮かした際の椅子が動く音


「(距離近め)どこ?」


至近距離で目が合い、2人が数秒硬直する。


//SE 美桜と聞き手が離れる際の椅子の音・机が少し動く音など


「(ドキドキしながら)ご、ごめん。近かった、よね。

 あはは。え、えっと。分からないとこって……ここで合ってる?」


「少し解いてみてくれるかな?

 どこが分からないのか、知りたくて……」


//SE 文字を書く音


「ふむふむ。……あーなるほど。

 この時はね。この公式を使うんだよ」


//SE 文字を書く音


「ねえ? 解けたでしょ?」


「そんなことないと思うけどなぁ〜。

 ほとんど解けてたもん。

 きっと私が教えなくても、1人で解けてたと思うよ?

 ……でも、ちょっと意外だったかも。

 君、ちゃんと勉強してるんだね。

 前会った時は鬼気迫った顔してたからさ。

 てっきり全然勉強してないのかな〜って勝手に思っちゃった」


「ふ〜ん、その人に教わってるんだ。

 良い人なんだね。学校の友達?」


「……え、待って?

 学校の友達じゃないの?

 もしかして、その人……女の子?」


//SE 机に置かれたグラスの氷がカランっと溶ける音


「(棘のある声で)ふ〜ん。どうだか。

 そんなにその人と仲がいいならさー。

 私に教わらないで、

 その人に教えてもらえば良いんじゃないですかね~」


//SE 美桜がペンで机をトントンと叩く音


「……どうしたの急に?

 そんなに慌ててさ~。

 私に教わったらやる気が出るなんて、そんな理屈あるかな〜。

 てか違うなら、そんなに焦らないよね?

 やっぱり、その人……女の子ってこと?

(圧を掛ける感じ)私に嘘ついたんだ?

 勉学より先にやることがあるみたいだね。

(小声)レディーに対するマナーを、徹底的に叩き込まない……」


//SE 聞き手が机に置かれたスマホを手に取る音

//バックSE スマホのクリック音 ※開始


「……スマホいじり始めてどうしたの?」


//バックSE スマホのクリック音 ※終了


聞き手、美桜にスマホの画面を見せる。


「(安堵する感じ)ふーん。本当に女の子じゃなかったんだ。

(少し拗ねる感じ)じゃあ、どうして私に謝ったんだか」


「ふぅ~~ん。そっか」


「別に嫌だった訳じゃないけど……

(小声・ヤンデレっぽく)女だったら処理しなきゃって思っただけで……」


//SE 聞き手が机にスマホとペンを置く音

//SE 聞き手がメニューを開く音


「……え? 奢ってくれるの?

 別にいいよ。

 私が勝手に勘違いして、拗ねちゃっただけだから」


「(疑う感じで)……ふぅ~ん。君の方がねぇ~。

 こんなタイミング良く、お腹空いたんだ?

 …………(呆れる感じ)もう、分かったよぉ~。

(明るく)じゃあ、休憩にしよっか」


//SE 美桜がペンを筆箱にしまう音

//SE 美桜がノートと教材を閉じる音


「でも、奢ってもらうのは気が引けるから嫌、かな。

 だから普通に割り勘で食べない?

 お昼ちゃんと食べてきたんだけど……

 長いこと勉強したせいかな? 私もお腹空いちゃった♪」


//SE 美桜が教材とノートを机の上でトントンと角を整える際の音

//SE 教材とノートをバッグに入れる音

//SE 美桜がメニューを見るため、机に両腕を載せる際の音・衣擦れ音など


「うわぁ〜どれも美味しそうだね。迷っちゃうなぁ〜」


「………うん。決めた。私、このパフェにする!」


//SE 聞き手がスマホを操作する際の衣擦れ音・もしくはクリック音


「あ、スマホで注文するタイプなんだ。

 ありがとう。じゃあ、このパフェ、お願い!」


//SE 美桜が身動きした際の衣擦れ音


「(緊張気味に)……ねえ? さっきさ。

 私に教わったらやる気が出るって言ってたよね?」


「…………もっとやる気が出るようにしてあげよっか?」


「もうすぐ夏休みでしょ?

 だから……2人でどこか行こうよ。

(少しわざとらしく)そうだな〜。花火を見に行くとかはどうかな?

 ほら小学生の頃、よく行ってたでしょ?

(不安になってきて)もちろん嫌じゃなかったらだけど……」


「(嬉しそうに)やった♪ じゃあ、決まりだね」


「……うん。

 今のもやる気を出してもらうためのご褒美だけど……

(緊張気味に)わ、私さ。

 花火以外にも、君と行きたいところあるんだ。

 だから、夏休みに君が補習とかになったら……

(照れながら)私、困っちゃうなぁ〜?

(羞恥心を感じながら)なーんて……」


「(食い気味に)う、うん! すっっっごく困っちゃう‼ だから……」


//SE 美桜が机に身を乗り出した際の音(椅子が軋む音など)


「(耳元で囁く・小悪魔っぽく)頑張ってね? 応援してる♡」


//SE 美桜が再度座る音(椅子が軋む音など)


「(赤面しながら)あ、あははは。こっちがその、

 やる気を出してもらう、本命のご褒美というか……」


「急にごめんね。変なこと言って。

(不安そうに)こういうやる気の出し方は、嫌だったかな?」


「(安堵して)そっか。なら良かった♪

(気合いを入れる感じ)よーし! 私も頑張らないと」


「うん。私もちゃんと予定空けとくね。

(嬉しそうに)えへへ。夏休み、まだ始まってもないのに……。

(笑顔で)予定立ててるだけでなんか、すっごく楽しいね♬」


//BGM カフェなどで流れている静かめの曲 ※フェードアウト



《続く》

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