解決編④

カトリ「呪怨って、あのホラー映画の呪怨?」


トベ「はい。」


ノココ「耳を塞いでたのに聞こえちゃったー!モリーは呪怨の子役だって(怖)。やばいー!」


トベ「ただ僕は呪怨を観たことがないから、全身真っ白な少年だったってことしか知らないんですが、みんなはそっくりだって大爆笑していました。」


大会の写真には、必ずモリーが写っているはずだ。


呪怨の子役が写真に写り込んでいることをトベは信じて、今はただ真実を探し求める。


トベ「すみません。もう1人いるかどうかは、後でどなたかが写真を見れば済むことなので、今からいくつか質問に答えてもらっていいですか?」


ノココ「いいけど…。」


トベ「テニス部のホームページは、誰が作ったと思いますか?」


ノココ「それこそ部長のタママじゃないの?」


トベ「モリーが作ったんです。」


カトリ「タママ君が作らせたとか?」


トベ「いえ。いつの間にかモリーが作っていました。」


ノココ「こっわ!(怖)」


カトリ「でもそれはおかしいんじゃない?部長に聞かずに勝手に作るのは…。」


1年の間にモリーのしてきたことが、なぜかトベのしたことになっているため、不思議なことに確認すればするほど、トベの主張の信憑性が疑われてしまう。絶対にモリーにしかできないようなことを探す必要がある。


トベ「ではマージィの恋愛相談を受けたのはいつですか?最初と最後の大体の時期だけでいいです。」


ノココ「最初は去年の9月で、最後は今年の5月。」


トベ「では去年の秋の平日夕方ダブルスの話も、当然聞いてますよね?その話は、恋愛相談のメインテーマの一つでしたか?」


ノココ「メインテーマだった。」


トベ「ダブルスをしたときにいたのは、誰ですか?」


ノココ「マージィさん、タママ、カーラさんの3人だっけ?」


カトリ「あれ?3人だけなの?」


トベ「ダブルスなのに、もう1人いないのは、変じゃないですか?」


ノココ「タママは、1人でダブルスしてたんじゃない?」


トベ「1人でダブルス(爆笑)。テニプリじゃないんですから!二重人格でダブルスは組めません。」


ノココ「もう怖い話はやめてよー(怖)。」


カトリ「タママ君は部長だから、1対2だったとか?」


トベ「普通はそんなことせず、もう1人誰かを誘います。恋愛相談のときに秋の平日夕方ダブルスは、合計何人だったか聞きましたか?」


ノココ「聞いてないなぁ。」


トベ「仮にその日に、3人だったのか、実は4人だったのかで、マージィから聞いた話の印象は変わりそうですか?」


ノココ「かなり変わりそう。」


トベ「恋愛相談に対して、その男の気持ちを考えて自分なりの正解を伝えるために、そのときの人数を聞くことは重要だと思いますか?」


ノココ「重要…。あっ!」


ここでとうとう形成が逆転したため、トベは必死に考える。今まで散々大嘘つき呼ばわりされていたトベとしては、黙っていられない。それに2人をこのまま長時間拘束するわけにもいかないと思い、トベは焦って質問攻めにしてしまう。


トベ「なぜ聞かなかったんですか?恋愛相談に本当に乗るつもりはありましたか?本気で相談を受けて自分なりの正しい答えを伝えるなら、「3人か4人か?」「もう1人は何者なのか?」「誰が誘ったのか?」などを聞くのが当たり前です。もし聞いていないなら、それは本当に恋愛相談を受けたって言えるんですか?マージィは本当に相談をしていて、本気で相談を受ける気があったんですか?」


ノココ「私は先生失格だ!」


トベ「先生失格ではないので、気にしないでほしいです。そもそも先生が生徒の恋愛相談を受ける義務はありません。もしかして宿題は、恋愛相談についてでしたか?恋愛しないと0点ですか?」


ここで一旦、我に返るトベ。ノココをフォローするつもりが、焦って追い打ちをかけてしまったようだ。


トベ「自分が先生でもないのにわかったようなことを言って、すみません。ちょっと過激な表現をしてしまい、本当に申し訳ないです。」


ノココ「もう私はダメだ…。私の代わりにタママが、先生をしてほしい…。」


トベ「自分にはそのような資格もないので…。2つの意味で…。」


カトリ「2つの意味で(笑)。うちは資格とかないから、日本語教師になってくれてもいいけどね。あっ、でも他のものも必要だから、それがないと無理かな。」


ここで急にトベが転職する道もあるのだろうか。でも今は「あの全身真っ白な少年のそっくりさん失踪事件」の真相だ。


トベ「結局、単なる自慢話を聞いただけじゃないですか?」


カトリ「自慢話?」

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