魔法発動の種を販売・異世界ラルリベアタ
京極道真
第1話 ハローエブリワン
「今年もやってきました。秋は魔法の季節。
収穫祭です。ここラルリベアタ王国でも収穫祭が行われます。」
町のいたるところ、
国中に収穫祭のポスターが。
収穫祭は次の満月の日に始まる。
ハーベストムーンだ。
町の人々も「今年はラルリベアタ王国の
第2皇子。ラルク様の15才の成人祭も兼ねてのお祭り。楽しみだな。」
「そうだね。ラルク王子は愛想がいいし人気者だ。いつも手を振りながらハローエブリワンと僕らにも気さくに話してかけてくれる。」
「近隣諸国からもお祝いにたくさんの王族達が来るらしいぜ。」
「忙しくなるわね。」
「そうだな。」
お客さんとこう会話しているのは、
ラルリベアタ王国の中心地。
バルム市場でカフェ南国を営んでいる
父と母だ。
そして僕は息子。ロナウドだ。
両親は魔法で育てた果物やコーヒー豆を使って店で出している。
今年学校を卒業したばかりの俺様もカフェを
手伝ってる。
俺様が考案した新作の桃パフェの人気が
今もっとも人気が高い。
桃の味はもちろん間違いないが。
桃をハートの形にカットして出した。
それだけで女子うけが良かったのか。
たまたまなのか。
ハートの桃パフェ食べると好きな人と両想いなるとかで、連日女子達で大賑わいだ。
それに加えて今年の収穫祭は
第2皇子の成人式で人出も多そうだ。
これで一気にお客さんが倍増だ。
さすが俺様。
ニヤニヤしている俺様を見て
「ロナウド、ニヤニヤしてないで、
運んでおくれ。」
「はーい。母さん。」
俺様は桃パフェをトレーにのせて、
「はい。お待ちどうさま。」
俺様は客の顔を見た。
「なんだ。ラルクじゃないか。
王子様がこんな庶民のカフェに来ていいのか?」
「いいに決まってるだろう。」
「それにもうすぐお前の成人式だろう。
準備で忙しいはずだ。」
「そうだな。」
「なんだそれ。他人ごとに聞こえるぞ。」
「まあーな。それよりロナウド頼みがある。」
「なんだよ。王子様が庶民に頼み事か。
俺様は金はないぞ。」
「ばーか。そんなことじゃない。」
ラルクが姿勢を正した。
「旅に出る。一緒についてきてほしい。」
「はあー?旅。なんで国を出るんだ。
国中、お前の成人式の祝いをみんな楽しみにしてるんだぞ。
それに国王陛下が許す訳ないだろう。」
「だから黙って出るんだ。」
「はあ?なんで王族の気まぐれに
俺様がつき合わなきゃいけないんだ。」
ラルクはまた姿勢を正して
「頼む。ロナウド、親友じゃないか。頼む。
一緒に来てくれ。」
俺様はラルクの目をのぞき込む。
どうやら本気らしい。
それにいくら第2皇子の王族だからと、
理由なしで無茶はしないはずだ。
それにラルクは王族にしては真面目だ。
理由が・・・何か、何かあるはずだ。
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