第2話

第一話 吝嗇の王


ザーハンの屋敷は、ロンドンの中心街にそびえ立っていた。だが外観の華麗さに反し、内部は氷のように冷たい。

暖炉は空っぽ、窓の隙間風がひゅうひゅうと鳴り、使用人たちは息を白くしながら掃除をしていた。


「旦那様、せめてこの冬だけでも石炭を……」

執事が恐る恐る進言すると、ザーハンは細い唇を歪めた。


「石炭は燃やせば消える。ならば、燃やさぬに越したことはない」


彼は黒髪を後ろに撫でつけ、鋭い眼差しを帳簿へと落とした。

数字――それこそが彼の唯一の関心事。

人の温もりも、祝祭の鐘の音も、ザーハンにとってはすべて「余計な雑音」にすぎなかった。


――だが、そのクリスマス・イブの夜。

ザーハンは生涯で初めて、「雑音」が押し寄せることになる。

それは幻か、夢か、それとも未来からの警告か。

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