砂漠のリア王
@19910905
第1話
第1章:佐藤直樹 ―混乱の始まり(会社員・30代)
砂漠の熱風が横転したバスの残骸に渦を巻く。佐藤直樹は頭を押さえ、息を切らしながら地面に座り込んだ。運転手も含め、ほとんどの乗客は絶命し、静寂だけが残っている。荷物が砂に散乱し、窓ガラスの破片が陽光を反射して眩しい。
佐藤は必死に理性を保とうとした。だが、その目に映るのは、絶望しかなかった。しかしふと、数えた生存者の人数に気づく。9人。シェイクスピアの『リア王』の主要キャストの数と同じではないか――。
心の奥で小さくつぶやく。「なら、演じよう。俺たちは今、砂漠の舞台の上にいる」と。理性を保つため、佐藤は生存者たちをキャラクターに割り振る計画を思いついた。砂漠の真ん中、死と絶望の中で、彼らは生きるための演劇を始めるのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます