「このね、主人公の赤毛ってのが日本人の感覚やと分かりにくいですけどね、現地では今でも残る差別の対象なわけなんですよ。」
「このね、主人公の赤毛ってのが日本人の感覚やと分かりにくいですけどね、現地では今でも残る差別の対象なわけなんですよ。」
翌日。文学に強い興味はないけれど、文化の授業は少なくとも経済学より面白い。
「差別の本質というとね、その人の意思で変えようのないものを嫌うってところにあると思いませんか。」
同性愛だってそうだろうか。
「性別なんて関係なくない?誰を好きになったっていいと思う。私だって女の子好きになることが将来あるかもしれないし。」
一緒に講義を聞いているミリちゃんと知り合った頃、そんなふうに僕に話していた。
「辰は見た目じゃそうって分からなくて、もっと女子っぽいゲイの子は友達にいたけど、辰は普通に男の子に見えたから、最初さ、女の子に興味ないって聞いたときは性欲がないってことかなって思ったもん。」
ミリちゃんは帰国子女で、もしかしたら特殊なことへのシンパシーがあるのかもしれない。
「そのガールズバーがさ、下が鏡張りになってて、女の子のスカートの中覗けるようになってるの。」
「覗いて楽しいのかな。」
「たぶんね。普通のサラリーマンのおじさんが常連で来たりするよ。若い女子と話せるし。」
「覗けたら一石二鳥。」
「そ。」
「キャバクラとかホストとかってお金払って人と話しに行くんだよね。」
「会える推しみたいなもんだよ。」
「誰かを推すほど他人に興味ない、な。」
「わたしもそれなら彼氏とか友達とかそっちにお金使う。」
「ね。」
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