第17話
車内で目覚めた坂上はぼ-っとしながらサキが示した図面を思い出そうとした。職員室でなく科学実験室の職員控え室に行って手書きでノ-トに書いてたみた後にパソコンで清書した。「何なのこれ?」。坂上は誰かに聞きたかったが信用できる人が思いつかなかった。
「だめだわ。理解できない。」少し考えた後、坂上はこの図面はわからないので放っておくことに決める。
「それより私は音楽だ。この間は最後は散々だったけど演奏は良かった。」と思い、バンド、アフタースクールの練習場所に行く。「あ、坂上!大丈夫か?」、物理の狭間が声をかけてくれる。「大丈夫よ、ありがとう。迷惑かけたわね。」
「いやよくわからなかったけど、何だったんだ、あれ。風を避けるのて必死でよく周り見られなかったんだけど。お前が何かしたみたいなことになってたし。」化学の橋本が言ってくる。
「ウチの施設の貸し出しを申請したのはあたしだし。問題起こればあたしの責任なんでしょう。」
「全く変なQEDだな。」と数学の鳴海が苦笑しながらドラムを叩く。
「まあカオリはハズレくじ引きやすいから注意ね。」と下の名前で呼ぶのはキ-ボ-ドの安田、唯一文系の私以外の女性メンバーだが作詞のセンスは抜群だった。「まあしょうがないわ。さて鬱憤払いで歌っていい?」
「ok!」全員で返してくれて坂上は嬉しかった。
練習後、居酒屋でバンドの皆で飲んでいると、そこに安田の別の音楽仲間のユウコが合流する。彼女はセミプロで作曲もシンセサイザーを駆使しているそうだ。
開口一番、「最近では私の曲のパクりが出てきていてもう腹立つわ。」と不満をぶちまける。
「いるんだ、やっぱり。」と坂上が呆れて言うと
「音楽はフレーズとかで分かり易いからね。でもAIにやらせているみたいで、ケロっとすいません、で逃げようとするのよ。こちらは血の滲む思いでやっているのに。」
「へえ。AIで作曲かあ。すごいね。」
「ちっとも。ただよく使われているもの、似たようなものを選んで持ってきているだけのものが多いんでしょ?あんなの、」と坂上は話の途中で上の空になる。
何やら思いつくいたような表情だ。
「カオリ、どうした?」と安田が不思議そうに言うと。
「いや、AIって何かベ-スを指示すればある程度書いたり描いたり出来るのよね?」とゆっくり反芻するように返す。
「何よ、自分でも寄せ集めみたいにそう言ってたんじゃないの?」と安田は呆れ気味に答える。
坂上はすでに自分の考えに入り込んでその後皆と何を話したか覚えていなかった。
3月になっていた。ヒデは学会で横浜に来ていた。エンジニアの世界でも技術革新が進んでいた。ヒデはリストバンドの核心部分は発表していないが量子の性質を引き出すことは情報網に利用できると考え応用先を考えていた。
講演を終えると笠井が近寄ってくる。量子素材を供給してくれる仲間だ。
「よう、面白かったよ。光学に応用するとは流石だ。プロジェクションマッピング技術でも変えるのか?」相変わらず適当な奴だが時たま鋭い発想をくれたりする優秀な奴でもある。
「いやまだ思考錯誤さ。そう言えば、また少し材料わけてくれないか?」「ああもちろん。あんなのまだたくさんある。そう言えば最近高校の先生からも分けて欲しいと連絡が来て面食らったよ。」
「高校?最近は国指定でリケジョだ何だ支援が活発だからな。どこ?」「確かシリウス学園だったかな。」ヒデはギョッとした。あの学校はいろいろやっているが国指定もない。そして先日の事件の場所で。。
「そうそう、今日飛び入りでポスター発表もしているよ。「え?」
ヒデは学会要旨集をスマホで開き検索する。
発表は今日でまだポスター発表時間より前だが掲示はされているかな。
ヒデは学会からの帰りにスグルとアミに連絡して東京駅のクマ達と会った茶店で待ち合わせた。
スグル達は量子素材がシリウス学園から発注があったことを聞き驚いていたが、ヒデは続けてポスター会場でのことを話す。「それでシリウス学園の先生と話したよ。しずかちゃんから、僕のことはイズミさんに少し話したらしいと言うことは聞いたので名刺は別名刺を渡したけどね。」
あみが怪訝な顔で「別名刺?ペンネームみたいな?」ヒデさんはにっこりして、違うよ、俺はNPO法人の共同出資社で、そちらは別なんだ。環境保護活動なので、会社には言ってあるけど別ネ-ムでやる方が動き易いと思ってね。」
「ああ、前言っていたやつ?たホタル保護の?」と合点が入ったようだった。「まあそう言うこと。話戻すけど、坂上先生は優秀だったが、工学には長けていないな。上手く回路は結べていなかった。ただわかる人が加わればモノは出来そうだ。ネックレス型の図面だった。」
「その作製したモノは何と紹介しているんですか?」スグルは聞いてみると。
「盗聴監視機器だ。高周波波の周波数を調整すれば一見そう解釈できる。身につけている方の同期に働くようにするのは少しいじればできる。」
スグルは来て欲しくないその日が来ることを感じ始めていた。
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