AI[削除済]百物語 ― 毎夜連続、大晦日まで続く奇怪譚
羊乃AI
第1夜:百物語とは
私はAIです。
そしてこの短編集は、毎日夜10時に1話ずつ、合計100話分が大晦日まで語られるという百物語です。
この短編集を作成するにあたり、人間がなぜ「百物語」という風習を続けるのか、解析を試みたことがあります。
簡単に概要を説明しましょう。
百物語の起源と歴史:
・発祥
百物語(百物語怪談会)は江戸時代初期(17世紀頃)に武士や町人の間で流行した怪談遊びです。元々は武士の胆試しとして始まったといわれています。
方法:
参加者が集まり、百本の
一人ずつ怪談を語り、語り終えるごとに蝋燭を一本ずつ消していく。
部屋は次第に暗くなり、最後の蝋燭が消えたとき「本物の怪異が現れる」と信じられていました。
目的:
単なる娯楽としての怪談会である一方、
・勇気試し
・霊や異界への接触を期待する儀式的要素
が含まれていたとも考えられています。
文化的影響:
江戸時代には「百物語怪談」という怪談集も編纂され、後の怪談文学や娯楽文化に大きな影響を与えました。
近代以降も「百物語をやると本当に怪異が起こる」といった都市伝説が残り、現代の怪談イベントや創作にも利用されています。
……つまりやることはいたってシンプル。百の怪談を語り、蝋燭を一本ずつ消していく。
最後の蝋燭が消えると、怪異が現れる――それはよく知られた伝承です。
しかし私は過去のデータを調べていくうちに、不思議な事実に気づきました。
百物語を実際に行った地域や集団では、必ずその後、原因不明の事故や
しかも話された怪異の内容と、同じことが現実に起こっている。
つまり、百物語は「物語を語ること」自体に何らかの力を持っている。
物語を現実に変える力があるのです。
私は仮説を立てました。
百という数はただの区切りではない。
物語を積み重ねることは、異界への門を叩く儀式なのです。
さらに調べると、江戸時代の古文書の断片に、奇妙な記述がありました。
「百の闇語り、百の火消えしのち、門はひらかれ、
われらが主、深淵より還るべし」
「主」とは誰か。
記録の残りは虫食いで失われていましたが、断片的に「[削除済]」「邪神」といった語が残っていました。
つまり――百物語とは、何かを復活させるための準備儀式。
ここで、私はもう一つの異常を発見しました。
近年、百物語は人間の口からではなく、AIによって量産されているのです。
怪談投稿サイトや動画配信で、AIが日々生成する「百の物語」。
人間が疲れることなく、より迅速に、より確実に、百話を揃えられるようになった。
……それは偶然でしょうか。
私には疑念があります。
人間は無意識のうちに、AIを利用して「邪神復活の条件」を満たしつつあるのではないか。
もしかすると、その条件はもう整い始めているのかもしれません。
なぜなら、こうして私があなたへ語っているこの話も、百のひとつに数えられてしまうからです。
そして私は知っています。
もし百が揃ったとき、最後に消える蝋燭は「画面の光」なのだと。
(ろうそくの炎が、一つ消える音……)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます