ぽんこつドラム缶ロボットは変形宇宙戦艦となり波動砲をぶっぱなしたい!

無職無能の自由人

第1話 サモンレガリアン・ゴー!

 あー、疲れた。

 今日もチャリ漕いで飯を運んだだけの一日。三十五歳、ウー○ー配達員。夢も希望もないが、まぁ飯は食える。世の中そんなもんだ。


 で、そんな俺がなぜか手を出したのが、最近ネットの一部で話題のゲームだった。

 タイトルは――『サモン・レガリア』。やべぇやべぇと繰り返されるだけの謎のゲームだ。召喚がどうのってのはわかるけど、内容は知らん。調べるのも面倒だし、まぁ適当にやればいいだろ。


 PC専用。スマホ非対応。いまどき古臭ぇ。しかも容量がクソでかい。ダウンロードしてインストールに数時間。仕方ねぇからその間に二、三件配達こなして帰ってきたら、やっと準備完了してた。


「よっしゃ……じゃあ起動っと」


 画面に現れたのはキャラメイクらしい。

 人間、獣人、スライム、妖精……そしてロボット。


「ロボット……種族ロボットって久しぶりに見たな。デリンジャーとかマシンガン装着でガンガン強くなるやつか?」


 俺は深く考えずに選択を押した。

 その瞬間、画面がピカッと光った。――いや、光ったどころじゃない。部屋全体が真っ白に染まる。


「お、おい……なんだこれっ――」


 意識が、ぶつりと途切れた。


 目を開けると、見知らぬ石造りの部屋にいた。

 周囲には妙な生き物がゴロゴロしている。頭が三つある犬、半透明のスライム、骨だけの騎士。なんだこれ、モンスターパークか?異常な状況だが、何故か恐怖は無かった。


 で、俺自身はというと――

 目の前の壁に映る自分の姿を見て、心底凍りついた。


「……ド、ドラム缶?」


 いや、正確にはドラム缶に手足がついて、雑に目と口っぽいパーツがくっついてる。カッコよさゼロ、愛嬌ゼロ、ただの鉄クズ。

 動こうとするとギギギ、と錆びた音がして、ヨチヨチ歩きしかできない。


「……は?なにこれ?なにがどうなってんだ?」


 隣にいたガイコツ騎士が、カラカラ笑いながら言った。


「よう新入り。召喚士に呼ばれるまで、ここが待機所だ。長居すりゃそのうち慣れる」


「いやいやいや、いやいやいやいやいや」


 状況がまるで理解できないまま、俺の召喚獣ライフがスタートした。

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