第4話

「この伸びた髪の毛も切んないとね」


凛君のために、友達がやってる美容院の予約をした。

そろそろ十二時になりそうだ。

凛君は限界が来たのか私に肩を預けて寝てしまったのでゆっくりソファに寝かせた。

昼飯はさっき早めに食べてしまったのですることがない。


よし、配信を見よう。

慣れた手つきで、私がよく見るJKダンジョン配信者のユイちゃんの配信を開く。


『ふぅ、もう今じゃC級ダンジョンブレイクも余裕だね!』


・昔はあんなに苦労してたのに

・マジで成長したなぁ

・【1000円】今日もかわいい代


『ね~めっちゃ成長した!あ、スパチャありがと~!』


どうやら今日はC級ダンジョンブレイクを攻略してるようだ。

ユイちゃんの配信みてると、自然と元気が出た。








それは、12時00分を時計の針が通過した時のことだった。

ふと異様な空気を感じ、スマホから目を離して振り向いた。

異様な空気を発していたのは、凛君だった。


...異様な空気だけではない。

謎の青い光も発し始めている。


「り、凛君!?」


急いで寝ていた凛君の様子を見に行く。

が、凛君は青い光で包まれていて見ることができなかった。

だんだんと強まっていく光に、目が耐え切れず視界を閉じる。


光が消えたのは、一分ほどたった後だった。


「大丈夫!?」


そういいながら開いた眼に映ったのは、目が隠れるほどに伸びた髪だった凛君———とは似ても似つかないかわいい女の子だった。








ふと目が覚めた。

いつの間にか寝てたようだ。

時計を見ると12時30分を指すところだ。


あれ、こんな時計低いところについてたっけ?


ちょっとした違和感を感じたが、あまり気にしない。

周りをきょろきょろと見渡すと、紬さんを見つけた。


「すみません、いつのまにか寝ちゃいました」


椅子に座り、スマホを見ていた紬さんに声をかける。

紬さんも俺が起きたことに気づいたようで———ものすごい勢いでこっちに向かってきた。


「凛君!?凛君なの?」

「へ?俺ですけど...」


様子がおかしい。


「ど、どうしたんですか?」

「私が聞きたいよ!急に女の子になって!」


お、女の子?

何を言ってるんだ?


「もしかして凛君気づいてない?」


そう呟いたあと、紬さんは急に洗面所へと向かっていった。

すぐに帰ってきたその手には、少し大きめの鏡があった。


「はい、鏡!これみて!」


そういわれて差し出された鏡には、意味の分からない光景が映っていた。


「......女の子になってる?」


銀色に輝いた長い髪のかわいらしい少女。

頭にはなぜか青いバラのヘアピンがついている。


どうやら俺はプリンセスになったみたいだ。

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