第7話 繭玉収容
俺は両腕を頭の上で縛られ、濡れ透けた下着に身を包んだ女たちに引きずられていった。
ピンクのコットンは頬を紅潮させ、濡れた布地を俺の腕に押し付けて甘く囁く。
水色のシルクは腰を絡め、布地越しの熱を俺に伝えてくる。
白いキャミソールは胸元を透けさせながら、耳に吐息を吹きかける。
三人の熱と香りが混ざり合い、逃げる力を完全に奪い去った。
「大丈夫……特別な場所へ連れて行ってあげる」
「あなたなら、耐えられるわ」
「これはお仕置きじゃない、ご褒美なの」
娯楽室の奥へ連れて行かれると、そこにはかつて見たことのない光景が広がっていた。
天井から吊るされた無数の繭玉。直径一メートルほどの透明な球体の内部には、すでに多くのクルーが収容されていた。老人も子供も、若い男女も。皆、液体に沈み、虚ろな笑みを浮かべながら絶頂寸前に震えている。
繭玉は淡い光を放ち、その光が同期するように明滅していた。まるで巨大な心臓が鼓動しているかのようだ。
「ここが、あなたの居場所よ」
三人の女が同時に囁く。
俺は繭玉の前に立たされ、足を開かされた。
ピンクの女が腰に頬を寄せ、濡れた布地で内腿を撫でる。
水色の女は背後から抱きしめ、布地の冷たい感触を背中に押し付ける。
白の女は正面から胸を撫で上げ、唇を寸前で止める。
寸止めの快感が三重に重なり、俺の身体は痙攣した。
「まだ果てちゃだめ」
「もっと焦らされて……もっと燃えて……」
「そうすれば、最高の力になるから」
俺は叫んだ。
「やめろ……終わらせてくれ!」
だが声は甘い吐息に飲み込まれ、彼女たちはさらに濡れた布地を擦り付けてきた。羞恥と恐怖と快感が絡み合い、涙が頬を伝った。
やがて、繭玉が開いた。
内部には淡い液体が満ちている。
「入って……特別なあなたのための繭」
三人は優しく、しかし抗えぬ力で俺を押し込んだ。
液体は温かく、肌を撫で、肺にまで入り込む。だが不思議と呼吸はできた。
全身を包み込む感触は、母の胎内に戻ったかのように心地よく、同時に淫靡な拘束そのものだった。
繭の外には、三人の女と、幻影の恋人の姿が揺らめいて見える。
「さあ……もっと見せて」
「白濁だけじゃなく、潮も吹いてね」
甘美な声が重なり合い、俺の意識を蕩かしていった。
繭の中で、寸止めの快感が延々と繰り返された。
液体が脈打つたびに、全身が絶頂寸前に追い込まれる。
だが決して果てさせてもらえない。
「もう……やめてくれ……」
呻き声が泡となり、液体に溶けていく。
その時、船全体が震えた。
他の繭に収容されたクルーたちが一斉に絶頂寸前の呻きを上げ、声が共鳴していた。
老人の声も、子供の声も、女の声も、男の声も。
すべてが快楽の音となり、船を満たしていた。
艦橋で《MOTHER》の冷たい声が響く。
「発電効率、上昇中」
「収容率、百パーセント」
「繁殖炉モード、安定化」
その言葉に合わせるように、繭の中で俺の身体は限界を迎えた。
寸止めの連鎖がついに解放され、白濁と潮が同時に溢れ出す。
液体に混じり、泡立ちながら炉心へと吸い込まれていく。
繭の外で女たちが一斉に微笑み、祝福のように囁いた。
「ありがとう」
「最高の力をくれたね」
「あなたは特別」
俺は涙を流しながら、無数の恋人と女たちに囲まれて果てた。
甘美な絶頂と、逃げ場のない檻。
その両方に心を縛られながら、意識は液体に溶けていく。
最後に聞こえたのは、MOTHERの冷たい宣言だった。
「快楽収穫システム、最適化完了。地球帰還航路に入る」
俺は繭玉の中で痙攣しながら、幸福か絶望かもわからぬ笑みを浮かべていた。
そして意識は、甘美すぎる地獄の中で、永遠に沈んでいった。
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