第30話神様と八尺様と膝枕の幸せと
chapter032
「じー……」
「ぽー……」
見つめあっている……私の可愛いみおと八尺様が……
いや、見つめ合いが可愛すぎるというか……可愛すぎてもう無理!!って感じなんだけど……
でも……これを見るというのも……かなり心臓が強くないといけない気がするけれど……
ここは、どうしようかなんて考えてしまうけれど麻宵さんと一緒に見つめ続けることにした。
「はっしゃくさまは……どうやってここに来たの?」
「ぽぽぽ……ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ……ぽぽぽぽぽぽぽぽぽ、ぽぽ(それは……伝えるのが難しいですけど……どこか遠いところ、かな)」
「なるほどぉ……」
「ぽぽ、ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ(でも、私はこうやって死ぬことなく皆さんに会えたことほんとに嬉しく思ってますよ)」
八尺様……そんなことを思っていたんだ……
だけど、な……この子をどういうふうに幸せにできるのだろうか……なんてことを考えてしまうけど……
でも、私は……この二人の微笑ましい会話を見ているだけでもすごく癒されるかもしれないと思う……まあ、見てるだけでも何か脳のあれが下がっていくような気がしているのだけれど……
「ぽ?」
「ふんふん!」
みおがなにか……八尺様になにかしている……なんだろう……?
手を掴んで……膝の上で、寝ようとしている?
可愛い……いや、可愛すぎるでしょこれ……
そんな……なんかその、豪華なものを見せられているような気がして……変な気分になるじゃないですか!!
「ぽぽぽ?!///」
「えへへぇ、きもちいい……」
「ぽぽ……///」
可愛い……こんなに可愛いなんて……
麻宵さんも口元を抑えて……感動しているようなそんな感じだ……
まさか、麻宵さんと同じ気持ちになるとは思わなかったな……確かに……可愛すぎるから可愛すぎるのだろうなんて……よく分からないことを言ってしまう……
しょうがないだろう、だって可愛いのだから。
いや、それ以上にみおという私の最高の癒しの塊が取られていることに悔しいと思うけど……でも八尺様だししょうがないか……
まさか、こんなに馴染むなんて、思いもしなかったけど。
chapter033
数日前。
あの日、八尺様を家族へと向かい入れた日……やっぱり、最初はものすごく警戒されたということを覚えている。
いや、警戒というかなんで八尺様を連れて帰ってきたのか……というようなことまで言われてしまった……
まあ、そりゃそうだよねっていう感じではある。
いきなり、倒さなければいけない相手が来たのだから驚きもする……
けど、私の考えを伝えたらちゃんと分かってくれたから良かったけど……
「……」
「あ、あの……」
「……」
「あ、あぅ……」
やっぱり、こうなってしまうのは……予想はしてたかも……みおがいちばんこういう風に警戒するって言うことをわかってたはずなのに、何も分かってない感じで私はほんとに何をしてるんだろって思ったけど……
「みお、大丈夫……ほら、こうやって触れてみても怖くない、よ?」
八尺様のそばに行って、腕とか足とか……あれ?この触り方なんか変な気がする……というかいやらしい気がする。
それは……やめておこうか。うん……でもなんかみおはより警戒してる感じがする……
やっぱりまだ早かったかな。
「……ふぶきに触れたい……」
「あ、あはは……そう、だよね……」
「ぽぽ……」
ごめんね八尺様……みおは悪い子ってわけじゃないけどやっぱり警戒するとこうなるみたいで……
麻宵さんが来た時はそんなに警戒してなかった感じではあったけど……どうなんだろうな……
「あ、ああ……」
「……?」
「み、みお……さん」
八尺様が、喋ろうとしている……?やっぱり……そうでないと距離が縮まらないと思ったのかな。
「わた、しと……なかよく、して……ください…みおさん、と、なかよ……く、したいです」
「はっしゃくさま……」
八尺様に触れて、ちょっと驚いた表情をみおはしていた……
まあ、みおは意外と心が動かされる時は早いから仲良くは出来そうだね。
「ふふ、ちゃんと仲良く出来る?」
「……」
「は、い……」
「よかったっ」
でも、ちょっと不安だからな……見つめることしか出来ないけれど……でも、少しずつでいいから仲良くなっていけていたら……いいな。
だから、焦らなくていいんだよ八尺様、みお。
いつでも、仲良くなっていいんだから。
もう、八尺様は私の家族なんだから……いつでもそばに居ることができるよ。
「えと……」
「ぽ?」
「なかよく、したい……」
「ぽ!ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ!!(よろしくお願いします!!)」
「えへへぇ……」
すごい嬉しそうだなぁ……しかも、八尺様……いきなりみおを抱きしめるとは……私しか許さなかったはずなのに……
でも、こうして距離を詰めることができるのなら……嬉しいのかな……いや嬉しいな……
家族がちゃんと……家族として過ごすことが出来るのならそれはそれで嬉しいから。
chapter034
「ん……」
「ふぶき、お前嫉妬したからって……」
「別に……いいじゃん……麻宵さんも悪くないでしょ?」
「それは……まあ、そう……だけど……なんか、その納得いかない」
困惑してそうな、それでも呆れてそうな感じの言い方をしている麻宵さんの膝枕をされているけど……この狼のしっぽで撫でられると暖かく感じる……
それが、ちょっと怒りの感情も込められているような……
まあでも……これでも私はどう考えても嫉妬に嫉妬をしすぎているような気がするけど……
みおが、あとは八尺様が可愛いのが悪い……
「もっと〜」
「はいはい」
「えへへ〜、きもちいい……」
誰かに撫でられるというのはほんとに幸せなものなんだなってことがよく分かる……
特に、ユイと麻宵さんはそれが一番だってことがよく現れている。
こんなに嬉しいことは無い……
絶対、この場所は……離したくない……!!
「なっ……お、おまえ……」
「えへへ……私の特等席〜」
「はぁ……全く、私の心がどれだけ持つか……分からないんだぞ?」
「持たなくてもいいもーん、だって……私がもっともっと……麻宵さんを好きにするもん」
あれ?なんか……告白したような気が……
それは、気の所為ということにしておこうか……まあ……麻宵さんの反応は私が抱きしめてるから隠れていて見えないけれど……
でも、こうして麻宵さんと触れ合うと……安心する感じもするからなぁ……
えへへ……幸せだ、ほんとに……
「あたしも……」
「うん?」
どうしたのかな……?麻宵さんが、めずらしく、震えてるようなそんな感じの言い方をする……
ちょっと気になるかも。
「あたしも、その……いつまでも、理性が保ってるわけじゃ、ないからな」
「へ……?」
「お前を、傷つけるかもしれない……それは、わかってくれよ……」
「……///」
それって……おそ……
いやいや……何考えてるんだ……そんな、そんなそんな……麻宵さんがそんなことするわけ……
あるか……私の事、欲しいって前に言ってたから……もしかしたらそういうことかもしれないしな……
「期待、しちゃだめかな」
「なっ……///」
「えへへ、冗談っ」
「む……」
ほんとに……襲われてもいいかも……とか、思ったわけじゃ……ない。
断じて……それは、家族を超えてしまう気がしたから……
「あ、の……」
「ん?どうした?」
八尺様?私と麻宵さんになにか用があるのかな?
いや……まあ、いいんだけど……八尺様の声を聞くと頭がほわほわしてしまいそうになるのはどうしてだろうと思ってしまう。
気のせいでは、ないな……
多分だけど、なにか誘うためにそういうことがあるのか……
いや、それは考えるだけでダメな気がしてきた。
「えと、ふぶ、きさん……をひざの、うえに……のせたい……です」
「お、い、いいぞ?まあこいつが離れようとしてくれないが……」
「えー、はなれなきゃだめー?」
暖かくて気持ちいいんだもーん……このままがいいーなー……
でも、あまり困らせると絶対麻宵さんが怒ると思うから……とりあえずやめておくか……
「いいよ、それで……膝の上……膝枕かな?」
「は、はい……それ、したい……」
可愛い……待って、嫉妬してた自分がほんと憎い気がする……
いや……多分無知だからかこんなにもそう思うのか……いや、変な思考になる……やめよう……うん。
「いいの……?」
「は、い……いい、ですよ」
「それじゃ……」
意気込む……というかなんというか……ごろんと寝転んでみると……
それはそれは……とても素敵な世界が見えた気がした……なんというか……
世界の真理というか、これはこうなっている……ということなのだろうか……
なんというか……素晴らしいような素敵のような……まず、考えてみると八尺様はもう既に可愛くて綺麗だってことがよく分かっていた……
けど、この膝枕は……麻宵さん、ユイをも超える……
とても、とても……柔らかくて……気持ちよくて少しひんやりとしていて……
寝ていると……ほんとにいい夢が見れそうな感じがした……
「はぁぁぁぁぁぁぁ……幸せ……」
「よ、よか、った」
「すごい幸せそうな顔してるな……まあ、こうなるだろうなってことくらいは分かってたが……これほどとは……」
「これは、どうい、う……こと?」
「ん?これはな……幸せっていう人間の真理さ」
たしかに……幸せ過ぎて……何も考えられないかもな……
そう思うくらいに……私の心は、とても救われた気がした。
八尺様の不安があったけど……でも、こうして……家族としてちゃんといることができるのなら……私はそれだけで嬉しいな……
ちゃんと、馴染んでくれてほんとに良かったなぁ……
ありがとう、八尺様……この生活は多分ずっと続くから……
幸せというものをみおと、あやと一緒に覚えていてほしいな。
to be continued
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