第19話新しい家族、もふもふが増えた、天国かな?
chapter009
「と、いうことは……」
「そういう事……ですよね?」
「うん、多分……懐柔された?自分でも言うのあれだけど」
なんか……凄い口調が柔らかくなってた気がするんだけど……
ほんとに、それが気のせいなら……
あやがあんなにも柔らかい口調になるとは思いもしなかった……けど。
でも、これは……私のことを認めてくれたってことでいいのかな……
そうだ、そういうことを考えてしまうけれどあや私のことどう思ってるのか……それが一番分からないから怖いけれど……
「そういえば、どうやって富山から帰るの?」
「え?あ……」
「あやさん……それに気づいておられないということなのかな?」
「やっぱりあや様は天然……なのでしょうか」
「絶対天然だよね」
なんだか、そう思うと一気に可愛さが増してるような気もしてきた。
もしかして……みおに仕えてたからだいぶ天然な可愛さが移ったってこと、なのかな?
それは分からない……いや、絶対そうだ。
みおと一緒にいると可愛さが移るのだろう、ユイが最近より可愛く見えるのがその証拠だ。
「え?」
「ん?」
「私が、可愛い……?」
「え?そう、だよ?」
「へ……?///」
顔を赤くして、ちょっと呆然してるんだけど……だってユイが可愛いのは事実じゃんか……
前からずっと過ごしてて可愛いパートナーだなぁと思ってたけど。
もしかして、ユイさん自覚なかったのかな……
「あ……えっと……その……」
「えと……ユイ、さん……私は……」
「続きは、みおさん達が寝た後に……聞きます」
「あ、はい……」
続き……か。
続きと言われても、私はユイが好きだから……好きだよって伝えるだけだけど……
も、もしかして……それ以上のことを求められてるとか……?!
そうなのだとしたら……ユイさん、私と……どうなりたいの?!
「こほん……それで……どうしましょうか……富山からどう出ましょうか」
「私は!ユイが好きだけど……その!!」
「何を言ってるのですか……?」
「あ……///」
やっちゃったぁぁぁ……何言ってんだ……私……
私はユイとは、パートナーでありたいけど……恋人みたいな……そんな関係までは望んでない……
けど……そうなれたらいいなとか思ってたけど……!!
「なるほど、澪様に伝えておきますね」
「なっ……!!あ、あやさん?!と、というか……いつから聞いてたんですか?!」
「え?そりゃぁ……」
「あーあー!!言わなくていいです!!」
必死に止めないと絶対何か言われると思った……いや絶対私の考えてたこと全部知ってたでしょ……
「ふふ、それより……その、忘れてたので東京の家に戻しますね」
「やっぱり……忘れてたんだ」
「えへへ……うっかりです」
「やっぱり天然」
「そっ、それは……否定出来ないかも……」
やっぱり……というか、自分が天然だなんて認めていいものなのだろうか……
もっと反論してくると思ってたんだけど……
それは、まあ……可愛いわけで……可愛いが可愛いに詰まってるからこそ……
「あーもういいですー、天よ、穿つ光よ。この空間において、我を彼の地へ移せ、地異転変!!」
「あー!!待って!!もうちょっと可愛いって……!!」
「それは東京着いてからしてください主様!!」
「着いてもつかなくてもだめです!!」
私の反論は為す術なく転移技によって消えてしまったのであった。
おっかしいなぁ……みおの可愛さとこのあやの可愛さはこれまた全然違うけど……二人とも可愛いことは変わらないからいいじゃないですかー!!
chapter010
そんなかわいいという反論?をしつつ……私達は一瞬で東京の家へと戻ってきた。
いや……なんだかあっさりだったなぁって思うけど……
やっぱり、あの子は逃げるだろうなとは予想してたけど……また、逃げたか……
「主様……?」
「ううん……なんでもない、というかこうなることくらいは予想してた」
「ああ……あの惑わしてきた奴ですか」
やっぱり、あの一瞬であの子に対して凄い嫌悪感を抱くのはしょうがないとは思うけど……
まあ……あの子のことは後々話そうかな……
卒業するまでに、助けきれなくて……メルには諦めろと言われた……
あの、悲しい怪異……
「……とりあえず、帰りましょうか」
「そうだね……うん、帰ろうか」
そう言いながら、私達は歩みを進める。
大丈夫……大丈夫、みおはきっと迎えてくれる、心配させちゃったぶんいっぱい抱きしめてあげよう。
撫でてあげよう。
きっと……きっと、みおが笑顔になってくれるようなことをいっぱい出来たら……それでいいな。
緊張……ではないけど、でも……この震える手で私は扉を開けた。
多分……心配でピリついてるんだろうなっていう雰囲気が凄いするけど……
いや、そんなこともなかったな……
ドアを開けた音を察知してか勢いよくやってきた子を見て凄い私は笑顔になれた。
と、同時に心配させた気持ちが強くて……申し訳なかったけどね……
「おかえりなさい!!ふぶき!!」
「おぉっ……えへへ、ただいま……みお」
そう言い、私はみおをすごくすごく……時間が過ぎるまで抱きしめ続けた。
ユイに呆れられてもいいと思うくらい……
私は、みおをこんなにも愛してるのだから……
でも、私達はその一言二言だけで充分なのだ。
それだけ、
chapter011
家に上がった瞬間、みおや麻宵さんとはまた違う雰囲気を感じた。
恐らく……あやが来てるんだろうなってことがよくわかる。
まあ……長年の勘だけどねこれは。
でも……あやがこうして来てくれたってことは姿を見せてくれるってことでいいのかな……?
「ただいまっ、帰ったよ麻宵さん……って、麻宵さん……?」
「あ〜?なんだぁ?このもふもふが良すぎんだが……」
「ああ……」
リビングに入ると、麻宵さんがどうやらなんかケモ吸いをしていた。
というか、赤いしっぽを吸っていて吸われているこの方は凄い顔が赤くなっていたんだけど……
もしかして……あの子があや?!
なんかその光景を見て、みおが無言で訴えかけてるんだけど……なんか、よくわかったかも。
多分、あそこでケモ吸いされてるのが……あやってことだよね。
「はわ、はわわ……こ、この……や、やめてください……」
「やめる必要ないだろう……だっていいんだからぁ……」
赤い髪に、赤いしっぽ……多分これは狐っぽいな……でも、きつねって黄色か白ってイメージがあったんだけど……
それ以上に、可愛すぎて……何も言えないんだけど……
しかも、みおや麻宵さん以上のしっぽ……これは……もふりがあるんじゃ……
「もう」
ぺしっ……
「あいたっ……」
「止めに行く、早く」
「う……はーい……」
そう、私は泣く泣くあやらしき子が吸われているのを止めに行く。
もっと、見てみたい気持ちが強いけれど……
というか、ユイさん怖いんですが……
「はーい、麻宵さーん、やめましょうね〜」
「ちっ……」
「ちっ?!舌打ちした?!」
「いいや?なんでもないが」
なんかすごい不機嫌になってどいた気がするんだけど……絶対気のせいじゃない……
まあ……とりあえず、目的は完遂したからいいか。
「それで……あなたが、あやさん?」
「は、はい……私が、絢でございます……」
そう言い、恐る恐るあやは私に対して土下座をした……って、なんで土下座?!
する必要ないでしょう?!
「土下座?!し、しないでくださいよ!!」
「いえ!!ここは!!多大な無礼をしてしまったので!!」
「えぇ……」
ここは、どうすればいいんだ……
いや、私そんな土下座してもらうような人じゃないし……
それに、多分あやのほうが相当すごい人だと思うからそういうのしなくても……
いやこういう時どう言えば……
「絢、やめてください」
「澪様……」
「混乱しているでしょ?それに絢は悪いことしてないんだから、そんな事しなくてもいいんですよ」
「で、でも……」
「絢」
みおが……すごく優しい感じがする……
いや、それ以上にお母さんって感じもするからなんだか安心してしまいそうな雰囲気がする……
やっぱり、みおってほんとに神様なんだなってよく分かるかも。
「は、はい……それでは、その話させていただきます……」
「うん……?」
「単刀直入に言うと……家族になりたいんです!!皆さんを見てて……その、その輪の中に、私も……入りたいと思って……だから……その……」
「うん、それは……充分伝わるよ」
「主様……いえ、何も言うことはないですね」
ユイも分かってくれてるし……それに……麻宵さんは家族になってほしそうな感じがするしみおもみおで絶対一緒に居たいと思う。
だから……私はもう、答えを既に決めている……
「もちろんだよ、絢。私と……私達と一緒に家族になって欲しいな」
「……っ!!」
口元を抑えて……涙ぐむ様子……
やっぱり……この子もほんとに可愛いな……
こんなに、嬉しい表情をしてくれるなんて思いもしないじゃないですか……
しっぽも揺れている様子で……とても、嬉しそうに思える……
やはりこういう子達はこんなにも可愛いのか……
いや、可愛すぎるな。
「はい……喜んで……!!」
「ふふ……」
また、新しい家族が増えた。
しかも今度は可愛いケモ耳を持ったみおの家族とも言えるべき子……
それならば、もっともっと、幸せにしないとな。
みおも、あやも、麻宵さんも。
私が、精一杯……幸せにしてみせる!!
「ようこそっ、私の家族へ!!」
to be continued
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