【本日2章完結】ケモ耳神様拾いました〜1000年前の神様、現代での生活で混乱するけどご主人様と共に毎日楽しく過ごします〜
ユウキ・アカツキ
第1章神様と現代の暮らし秋(吹雪side)
第1話神様と出会いました
chapter000
「寒い……」
寒い、寒すぎる……なんでこんなこと思わなきゃいけないんだろう……
ほんとに、よく分からない。
よく、分からなくて、よく分からない。
よく分からないってことが、うちには多い。
なんで、こんな所でさまよってるんだろう。
誰にも見られることなんて、あるはずがないのに……うちはずっと、ずっと……彷徨い続ける。
どうしてだろう、うちがこうして歩いている時にも時間は動いて、進み続ける。
人がこうして、作り上げた……名前は、分からないけれど沢山の建物だらけのここを、歩いていてもどうして歩いてるっていう理由もない。
うちはただ……歩き続ける。
どこまでか、いつまでか……
そんなことは、分からないけれど……でも、うちは永遠に歩き続けるのなら、それでもいいかな。
誰にも見られず、救われず、報われることなんてない。
それでも、うちは、生きていけるから。
chapter001
また、深夜か……
というか、どうして私に色々と指摘とかするのか……それがよく分からない。
部長だって、課長だって、みんながみんな……生きてるんだよとか言われても、めんどくさいことを押し付けてる事には変わらない。
結局……何のためにこんな、お洒落な格好をして職場に向かっているんだろう。
こうやって、酷いことを言われるためなのだろうか……それとも、深夜近くまで仕事をして凄いねて、だれも褒めてくれる訳でもないの淡々と永遠にするためなのだろうか……
ああ、ほんとに……生きてるって……
「めんどくさいな」
誰かにそう言って、伝わるわけではない。
ただ……私は、助けて欲しいのかな……
意味も分からず社会に出て、社畜になって、課長に絶対慣れるよとか言われ続けて数年。
もう、限界な気がしてきた。
私はもう、よく分からない……
何がしたいのかなんて、何をすればいいか、なんて……
「いやいや、だめだだめだ……何考えてんだ私……しっかりしなさいよ、
何とかして、また明日の朝に職場に行けるようにメンタルを回復させないと……
明日も休日だけど、出勤して来いって言われたし……
また、私の趣味を楽しむ時間とか無くなっちゃうけど……それでもいいか……
だって、しょうがないこと……後輩ちゃん達を巻き込む訳にはいかないんだから。
私が、何とかしないと……
「うぅ……それにしても、今日は寒いな……というか、まだ十月のはずなんだけど……なんでこんなに寒いんですか……」
はぁ……
白い息出てる……って、どれだけ寒いのさ……
そろそろ命の危機を感じるほどの寒さになってきているような気もするから油断ができない……
こういう時に……私はただ寒いと言って何もしないからこそ、風邪引くんだろうな……
早く帰らないと……
なんて思っているけど、帰りたくない。
帰りたいけど、帰りたくない……それだけ私は心が限界になってきているのだろう。
そんなの知りたくないけど……でも、限界を知るのだったら彼氏とか作って癒されたいな……
作りたい、作りたいとか言い続けて二十三年経ちましたけど……未だに貰い手なんて現れるわけが無い……
あはは……諦めたほうがいいのかなぁ……
「でも、運命の人に会うんだったら可愛くて、ケモ耳が生えても違和感なくて私よりも身長が小さい子にあって癒されたいなぁ……」
そんなこと言ってるんだから彼氏が未だに出来ないんだよって同僚にも母にも言われるけど……いいじゃん!!
そういうふうに現実を見なくても……私の希望に合う子が現れるんじゃないかと思ったって!!
「はぁ……都合よく現れないかなぁ……」
「「私を助けてくれる誰か」」
「ん?」
今、何かハモったよね……
いや、気のせいじゃない……というか、すっごく可愛い声が聞こえたような気がするんだけど……
気のせいということにしておこう。
「寒い……なぁ……」
やっぱり、声がする。
どこからかなんて……分からないけど……多分後ろかな?
でも、なんだか幼い感じの声……
まあ、多分……可愛い子供のような感じ……だから振り返らなくても……いいかもな。
さて……現実逃避してないでとっとと帰るか……
そうしないと……ほんとにダメになってしまいそうだ。
「え……いなく、なるの?」
「……?!」
声……これって、もしかして……私に問いかけてるの、かな……
そうなのだとしたら……
助けないと。
ここで、私が……何とかしないといけないじゃないか……そうだろう。
そうじゃなかったら……誰がやるんだ。
そう思いながら、声のした方向を見てみると……とんでもない光景があった。
chapter002
そこには、黒色で長い髪を地面に擦り付けて狼の耳をピンと生やしていて、身体中傷だらけなのにも関わらず……光っているようにも見えていて……とても綺麗だって、思ってしまった。
だけど、その子の目を見た時とても……助けを求めるような眼光をしていて……
とても……とても……
恋をしてしまいそうだった。
「……」
「……」
無言で、じっと……見つめてしまうほど、この子はそれほど神秘的で……
可愛くて……綺麗で……いや、それ以上に、子供?なのかな?
コスプレしてるようには見えるけど……
その、耳と……多分だけどしっぽもあるんだろうけどこれって……本物なのかな。
そうとしか見えないけど……
でも、こうやって存在してるのが……私だけに見えてるような感じもして……
なんだか、なにを言ってるのか分からないけれど……
でも、その子は……
どこかほんとに目を奪われてしまうほど……可愛い。
今も、ぺたぺた……と、ゆっくりと……どこかに向けて歩いていきそうで……
でも、触れてしまうと……儚く……脆く散ってしまいそうな……
そんな感じもあるから……怖い。
「……は」
「……?」
「あ、あの……」
「ん、な、なにかな?」
まずい、話しかけちゃいけなかったかな……
いや、いやいや……ここは話を聞いた方がいいだろう……
そんな事、ないのか?
いや、それはある。
話しかけられたのだから……話しかけるのが鉄則だろう……
いや、今の現代人ってそうなのかな?
というか、私時代に取り残されてる?!
二十三歳なのに?!
「あの……その、お姉さん……」
ズキューン!!
え?!え?!え?!
な、何今の……ず、ズキューンって……ズキューンって……
凄い、今心臓がバクバクしてる……ドキドキしてる……どうして……なんで……
それだけ……私って、恋に落ちやすいのかな?
そうなのだとしたらそれはそれで……可愛いところなのか?
いや、それは痛いやつになるからやめておこう……
「お姉さん……?」
「は、はい!!」
「もしかして……うちのこと、見えてるの?」
「ん?」
見え、てる?
今見てるって、言った?いや、いやいや……冗談だよね?
見えてるってそれじゃ……この世の者とは思えないというより、自分からこの世のものではないですって言ってるようなもんじゃん……
「うん、うち……そうだよ?」
そうだよ?!そうだよって、どういうこと?
いやちょっと待って、今私が思ったこと分かったって感じがするんだけど……
え、それじゃあ……この子って……
「幽霊?!」
「え?!そ、そんなんじゃ……ないよ?お姉さん……その、聞いて欲しいの……」
「いやぁぁぁぁぁぁぁあ!!怖い怖い怖い怖い!!幽霊だ!!本物の幽霊だー!!怖いよー!!ほんとに、ほんとに待って!!怖すぎるんですけど!!」
「お、お姉さん……」
「話しかけないで!!怖いから!!」
私は足早にその場を立ち去った。
それもそれで最低なことをしたなって思うけど……でも、しょうがないだろう……怖いものは怖いんだ!!
だから、逃げるしかない……
逃げて、逃げて逃げて逃げて!!
逃げてから、逃げてから……どうしようか……
考えても見ろ……
だって、あんなに……怖くて禍々しくて……
『お姉さん……』
怖くて……恐ろしくて……
『いなく、なるの?』
怖い……
『もしかして……うちのこと、見えてるの?』
だって、あんなに……可愛い……可愛い、化け物……他に居ないだろう……
逃げる、べき……なのか?
逃げる……いや、逃げる事なんて……したくない。
また、逃げるの……か。
『お前は、また逃げるのか?』
過去から、逃げて……
今から逃げて……
未来から逃げて……
私は、それでいいのか?
逃げて逃げて逃げて……結局、また逃げるのか……それじゃあダメだろう……!!
私は……また、そんなので終わりたくない……何時もの日常を過ごすだけじゃ嫌だ!!
あの子を……あの子を助けるんだ!!
私は、さっきの場所へ全力疾走で向かう。
なんとしてでも……助ける。
助けて……それから後はなんとかしよう!!
だって、助けを求める子は絶対助ける……あの時だって……そうしたんだ!!
だから、今回もそうする。
そうすればきっと……この子も救われてくれるはずだから!!
そう、思うのも……どこか遅い気もするけど……でも、こうしてあの子を救えるのが私だけなのだとしたら……私は!!
もう、あの子のように……悲しい思いをさせたくないから!!
「はぁ……はぁ……」
「お姉、さん……」
「私、あなたのこと……助ける。助けるから……だから……あなた、何者なの?」
「うちの事、助けて……くれるの?」
「うん、もちろん」
私は、そう……この子供のような女の子に対してそう言った。
優しく、懐柔するかのように……この子を抱きしめるように……包み込むようにと……そう思った。
「お姉さん……うち……うちはね、神様、なのずっと……ひとりで……寂しかった……だから、お姉さんに姿を現したんだ」
そう、この子は言ってくれた。
それが、この神様との最初の出会いなのである。
この後の運命が、どう変わるか……それは私には分からないけれど、どうなっていくのかは私次第なのだから。
to be continued
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