冴えない僕たちが大きな敵に下克上

カラメル

   1話 奇襲

 「俺から大事なものを奪った、お前を絶対に許さねぇ! 」

この事件の黒幕であるサイコパス男に向き合いながら言った。


今日もいつも通り平和な朝だった。


僕の年齢は24歳で3年間オフィスビルに勤務している冴えないどこにでもいる社会人だ。


名前は本方道哉という。小学校3年生から高校3年生まで色んな武道をやっていて、いざという時は自分の身は自分で守れる自信がある。


 今日も私服で電車に乗り、駅から10分ぐらいかけてオフィスビル街を歩いてた。


すると突然前から見知らぬヤクザのような黒シャツのごつい男が現れ、いきなり自分に向かって突進してきた。

それをギリギリ横にステップしてかわした。

「あっぶね、なんだよ急に!」

「おまえが本方道哉か?」と男が聞いてきた。

「そうですけど、どちらさますか? あとおれ何かしました?」


すると返事もなく男は自分に向かって走り出し右の大振りをかけてきた。

それを右に避け、右拳で男の横腹に思いっきりパンチを入れた。だが手応えはなかった。そのまま膝で相手のみぞおちを思いっきり入れた。すると男は「がはっ………」と言いよろけた。


みぞおちを入れた瞬間僕は後ろに下がった。

「おい! 聞きたいんだけど、俺が何かしました? 色々教えて欲しいんですけど。」

「貴様が知っても、敵わない相手だ。」

(まぁ、いっか!)


ゴツい相手に対して緊張している中、足を力強く踏ん張って自分から真正面に突っこんだ、近づいた瞬間に顔にパンチした。


だが男は焦る顔一切見せずガードした。それから男はガードを解き、腹に右ストレートを打ってきた。

「ぐほっ……」ずっしり重い衝撃を受け骨が折れそうだった。

「こんなもんか?来いよ」

(クッソ、勝てるわけねえ)

すると男の背後から手下たちがやってきた。

(やべ、早く逃げねえと)


僕は頭をフル回転させながら、周りを見渡し使えるものがないか探した。

考えた末、僕は仕事に持って行ってる鞄を下ろし手で掴んでそのまま5メートル離れてる男に向かって投げた。


投げてそのままたまたま近くにあった消化器を取りに行き、消化器を掴み安全ピンを抜き、「どさっ……」とカバンがぶつかった瞬間にホースの先端を男に照準しレバーを強く握った。

「ぶわーっ……」と白い薬剤が男に向かって放射された。

すると白い薬剤は周囲に広がり、周りが見えづらくなった。


僕はその隙を見て消化器を男に向けて投げ、一目散に男がいない逆方向に逃げた。

だが逃げた先にはすでに手下らが来ていた。

(やばい、回り込みされて挟み撃ちにされた。)

焦る中、抜け道がないか周りを見渡した。だがどこにも抜け道がなく、路地裏すらない。

(やばいやばい!、どうしよう)


これしかない!と思い、反対側の歩道に行くために車の行き来が激しい道路へ走った。

だが予想通り、「プァン!」「ファァァァァァン!」と車やトラックのクラクションが鳴り響いた。


僕が通るたびに車が「キィィィィ!」と急ブレーキ音が鳴り、その止まった車が後ろの車とぶつかり玉突き事故が起きた。

それが僕が通るたびに起き、道路は大変なことになった。


何とか歩道にたどり着き、来ているか振り返ったら手下らは向こうの歩道で大きな声で何か指示をしていた。

また追いつかれるのも厄介なので、ぼくはすぐにそこを離れた。


しばらく走って逃げ、周りにいないか確認してから歩いた。

すると一気に安堵が現れ倒れそうになった。

(ほんと危機一髪だった、一体おれが何かしたのかよ)


スマホを取り出し、ニュースを見ていたらさっき起こった事が載っていてそれを開いた。

そのページには誰かが撮ったであろう写真があり、その写真には男と男に向き合っている自分と同じ服装と同じマッシュルームの髪型をした男が映っていた。

(うそだろ……しかも鞄置いてきちゃったし。)


それから会社の上司に休みの連絡をした。

「なんや、どうした?」

「おはようございます、本方です、あの今朝、急に体調が悪くなってしまい、休ませていただきたいです。」

「ああそうか、分かった。あと何か朝からここら辺で暴行事件があったらしいやん、大丈夫か?」

「私の方は大丈夫です、ありがとうございます、 それでは失礼します。」と言い電話を切った。


交番に行き助けてもらうかと思ったが、さすがにあのニュースの写真に載った同じ髪型、同じ服装を着た人は怪しまれるし、周りの証言で顔が割れてるかもしれないからやめておこう。


誰か助けてくれそう人がいるか考えた。するとある人物を思い出した。

(あいつなら助けてくれそうだな、大学院でテクノロジーを研究してるから丁度いい!)


「そんじゃあ、あいつに会いに大学にいきますか!」


[宇三美握造]


私はある大企業の社長を勤めており、一応、表では善人として押し通している。


「おい秘書! 今日始まったあれはどうなんだ? 彼は追い詰められてるかい?」

「はい、何とか追い詰められているようです。ニュースにもなっております。 」


スマホのニュース画面を私に見せた。

「いいねぇ、いいねぇ。 これからがワクワクでたまらないよ。 そのうちまた会おう道哉くん」

(続く)











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