第4話 ダンジョン初挑戦! でも俺の役割がない件

 仲間が一人増えた。


 魔法少女ルナ――通称ルナちゃん。杖を振り回してはドカンと派手に爆発魔法をぶっ放し、しかも俺のスープを飲むと威力が三倍になるという、なかなかのチートキャラだ。


 俺? 勇者。スキル《料理》。特技はスープ作り。


 ……なんか、役割に格差を感じるんだけど。


 ⸻


 そんなわけで、俺たちは初めてのダンジョンに挑むことになった。


「勇者様、この先にゴブリンの巣があります。王都への道を塞いでいる厄介な連中です」


 そう説明するのは、最初に出会った騎士のロイドさん。真面目で頼りになるおじさんだ。


「ゴブリンか……剣とか魔法でバッサリって感じかな?」


「はい。ただ、奴らのボスは凶暴で……」


「お兄さん、お腹すいた」


 ルナちゃんがスープを要求してきた。出発してから三十分も経ってないんだけど。


「今かよ!? 戦う前だぞ!?」


「だからこそだよ! スープを飲んでからが本番なの!」


 ……なんか、俺がただの給食係に見えてきた。


 ⸻


 仕方なく《料理》スキル発動。野草と川魚を使ってスープを作る。


 ルナちゃんとロイドさんがそれを飲んだ瞬間――


「ふぅ……力がみなぎってくる……!」

「おお……肩の古傷まで癒えていく……!」


 二人ともやる気満々。よし、これでゴブリン退治だ。


 ⸻


 ダンジョン突入


 洞窟の入り口を抜けると、中は薄暗く、ゴブリンの鳴き声が響いていた。


「グギャァァァ!」


 早速、ゴブリンが飛び出してくる。牙をむき、錆びた剣を振りかざし――


「ファイア・バースト!」


 ルナちゃんの火球が炸裂。ゴブリン、跡形もなく吹っ飛ぶ。


「……え、もう終わり?」


「まだ奥にいるはずです!」とロイドさんが前進するが、そのたびにルナちゃんの爆発魔法がゴブリンをまとめて片付けていく。


 俺の出番が……ない。


 ⸻


 ボス戦(?)


 ダンジョンの最奥には、巨大なゴブリンキングが待ち構えていた。身長三メートル、筋肉モリモリ、武器は鉄の棍棒。


「グギャァァァァ!!!」


 うわ、めちゃくちゃ強そう。やっと俺の勇者らしい見せ場が――


「メガ・ファイア・ストーム!!!」


 ルナちゃんの超強化魔法が炸裂。


 ゴブリンキング、爆散。


「……」

「……」


 戦闘終了。


 ⸻


「お兄さんのスープ、やっぱ最強だね!」


 ルナちゃんがニコニコしながら親指を立ててきた。


「いや、確かにスープは作ったけどさ……俺、勇者なんだけど?」


 ロイドさんも苦笑いしながら肩をすくめる。


「勇者様のスープがなければ、ルナ殿もここまでの力は出せなかったでしょう。つまり勇者様がいなければ勝てなかったのです」


 なるほど。そう言われると……ちょっとだけ誇らしい。


 でも勇者って、普通もっとこう……剣を振るったり、必殺技を叫んだりする役目じゃないの?


 ⸻


 そんな俺の不安をよそに、ルナちゃんはまたスープを要求してきた。


「ねえ、お兄さん。次はもっとお肉たっぷりのスープ作って!」


「はいはい……」


 こうして俺たちの異世界冒険は、今日もスープの香りとともに続いていくのだった――。

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