24、共同作業

「あーもう疲れたぁ!」

 突然、教室の床に身体を投げだす彼女。

 仰向けで転がるその足元には、色まみれの画材たちが無造作に置かれている。――応援幕づくりの最中だ。

「もう少しで完成だよ?」

「あとは任せたぁ!」

「えぇ……」

 投げやりに仕事を任され、僕は困惑の言葉を漏らす。

 だが、それ以上の言葉は続かず、暫しの静寂が訪れた。

 やがて静寂を破ったのは、彼女の方だった。

「みんな手伝ってくれるって言ったのに、部活があるからーとか、委員会の仕事があるからーとか。忙しいのは分かるけどさ……」

 結局来ないなら、最初から期待させないで欲しかった。

 そう言いたげにため息を吐くと、彼女は体を起こして、

「ごめんね、いつも手伝わせちゃって」

 眉尻を下げるように笑った。

 その表情に、僕は胸が苦しくなった。

「……大丈夫だよ。僕は好きでやってるんだから」

「……ありがとね」

 なんだか気恥ずかしい雰囲気が流れる。

 やっぱり僕は、この恋人との時間が好きだ。

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