25、天使と悪魔

 私の中には天使と悪魔が存在する。

 と言っても、そんじょそこらの天使や悪魔とはちょっと違う。


 ある日、私が高校から帰宅していると道端で財布を見つけた。財布を拾い上げると、脳内にの声が響いた。


「それはきっと、神様が貴女あなたに遣わした贈り物です。ですので、神様への捧げ物を購入しましょう?」


「ダ、ダメですよ! せっかく金欠の主様あるじさまが見つけたんです。主様、自分の為に使いましょう……?」


 神様第一主義ファーストの天使と私第一主義ファーストの悪魔が私に囁く。だが。


「二人とも使う前提なのおかしいからね? こういうのは交番に届けるものなの。いい?」


「「……はい」」


 二人のしょげた声が聞こえる。

 根がいい子たちな分、叱る時に胸が痛むのが最近の悩み。

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