開戦の予兆
……主様問題が発生しましたわ。
クレイドルのレプリカント収集用の拠点の一つに潜入中のキイラが唐沢 直人と彼の操るレプリカントと交戦を開始しました。
……お待ち下さい主様。「よし分かった助けに行くぞ」ではありません。判断が速すぎますわ。ちゃんと報告は最後まで聞いて下さいませ……交戦を開始する前にキイラから重要な報告があったのです。
あなたが以前から話されていた運命の女神ノルン様と治癒の女神ディアンケト様のお二方がどうやら異世界転移者としてこの世界にお越しになったようなのです
間違いないのかですか? はい。キイラから報告のあった特徴は事前に主様から伺っていたものと酷似しています。
……ご安心下さい。肉体は人間の物となっているようですが、正真正銘本物の女神様達のようです。少なくともレプリカントではないとキイラから報告を受けていますわ。
だからこそキイラも自らの危険を省みず、後の事を考えずに己の意思を貫いたが故に窮地に陥った女神様達を助ける為に、唐沢 直人達と交戦を開始したのでしょう。
え? まさかもう何かをやったのかですって?
はい。 流石は主様の女神様であるノルン様と言うべきでしょうか、相方の女性――ディアン様を辱められそうになった事に激怒し、不埒を働こうとしたあの愚鈍なる支配者に自らの胸のサイズを叫びながらぶん殴ったようですわ。
はい。敵陣の真ん中で。なんの躊躇いもなくいったそうです。女神様の一撃は惚れ惚れする程の見事な一撃だったという賞賛の報告を最後に、キイラから連絡はありません。
おそらく交戦を開始し、現在は通信が出来ない余談も許されない状態なのだと思います。
お待ち下さい主様。一応聞きますが話の途中でどちらに行かれようとされているのですか?
……ご安心を。心配せずともノルン様達を助けに行く事は止める等という野暮な事は致しませんわ。
意外ですか? 確かにこれまでは準備段階であった為に王国との交戦は極力避け、情報収集や戦力補充を優先する方針を取っていましたが、主様の女神様達がこの世界にいらっしゃったとなれば、話は別……当初の計画を大幅に前倒して動かせて頂きますわ。
ここからは組織で動くという事です。なので決して一人で行こうとはしないで下さいませ。あなたには私を始めとした臣下――仲間がいるのですから。
はい。分かって頂けて嬉しいですわ。ではこれより我々反連行組織アポカリプスは表舞台に上がります。
この一戦を持って女神様達を奪還すると共に連合国家クレイドル……いえ、世界そのものに対する開戦の号砲といたしましょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます