異世怪獣ソドム 特撮ヒーローシリーズ怪獣の中の人、異世界にて怪獣変身能力を手に入れて無双する
岸 露満
プロローグ
特オタ女神の最推し、推し怪獣となる
『LUOOOOOOOOOO‼‼』
絶望に彩られた戦場に力強く木霊したのは、紛れもなく怪獣の咆哮であった。
(信じられません……)
目の前の奇跡のような光景を、これから先私は決して忘れないとそう確信する。
ここは異世界で、相変わらず三体の巨大な機人に囲まれており、絶体絶命な状況には変わりない。
だが、今の私にはもう不思議と恐怖は存在しなかった。
「和さん」
この世界には存在しないはずの怪獣に変身し、同じく世界の異物である鋼の巨人達の前に私達を守るべく立ち塞がってくれた彼の名を私は自然と呟いていた。
(まさか、異世界でも怪獣を着る事になるなんて……)
しかもスーツであった前とは違い、今度は本物を着ている。
その事実に心臓が早鐘を打ち、お腹の底から熱いものが込み上がり続け、呼吸が自然と荒くなる。
(最高すぎます!)
気を抜くと、大声を上げそうな程に私は高揚していた。
一人の人間にこんなにも心を動かしてしまう事は女神としてあるまじき反応なのは間違いない。
だがこればかりはしょうがない
私は只の女神ではなく特撮をこよなく愛するオタクの女神――特オタ女神なのだから。
そんな私の目の前で前の世界では怪獣のスーツアクターだった推しの男性が、私の大好きな推しの怪獣になったのだから。
推しの過剰供給で興奮の余り、鼻血を出しそうになるのもしょうがない。
(最高の光景です)
何の疑いもなくそう思う。
だからこそ私は叫ぶ。
「私の最推しの和さんが、推しの怪獣になったぁぁぁ‼‼」
これは皆の英雄の物語ではない。
狂いきった世界を終わらせる怪獣の物語――その黙示録の始まり。
主役はこの記録を記している女神である私ではなく、私の最推し――鈴木 和さんだ。
故に私が記す記録に目を通してくれているあなたには語らねばなるまい。
私の最推しが何故この狂いきった異世界『ユグドラシル』に派遣されたのか? 何故怪獣になったのか? どうしてそうならねばなかったのか?
全ての始まりはこの私、運命の女神ノルンが親友であるディアンケトからとある申告を受ける事から始まる……
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