旧校舎でさ迷う恋心、新校舎で歪み続ける想い。
姫野光希
旧校舎のずぶ濡れの女の子
ーーー『あなたは、誰?』
私は、オレは、僕は…自分が誰なのか、何者なのか、解らない。
そんな私みたいな
ただただ私は、生きている人間の生命エネルギーに惹かれて、自分の
それ以外は、何もいらないし、解らないままでいい。
ーーーずぶ濡れの女の子
私は今、そう呼ばれているらしい。
どうして、“ずぶ濡れ”なんだっけ?
どうして、こんなにも私は濡れているの?
髪の毛から頬を伝い落ちる水が邪魔でしょうがないの。
◆◆◆
あ、あそこの女の子はすごく“美味しそう”。
だけど、隣の男の子はもう“美味しくない”。
ーーーだから、あの女の子を喰べよう。
いつものように、私は…私の目の前に来た美味しそうな生きている人間を襲って喰べるの。
「ねぇ、次もまた次も、次も次も次も次も次も次も次も次も次も次も次も次も次も次も次も次も次も次も次も次も次も次も次も次も次も次も…ずっと私のために美味しい生きている人間を連れてきてね?」
私は、彼の何とも言えない…淋しそうで、苦しそで、今にも心が溢れ出して泣き出してしまいそうなのに、ぐっと堪えるこの顔が好き。
でも、何で、彼が大好きなんだっけ?
まあ、いいや。
彼に興味がなくなった。
教室の、壊れた窓の前に移動して、私はいつものように綺麗な、きれいな、キレイな、新校舎をずっと、ぼーっと見詰めていた。
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