3話 心を覗く魔法はありますか?

 王宮の謁見の間。

 そこでアミーナ姫は、

 父王のウマルと、母王のヒバの

 会話を聞いてしまいました。

 その言葉は、彼女の心に

 小さな影を落としたのです。


「けしからん! 妙な魔法など操ってはいないか?」

 父王の声は厳しく、

 どこかいらだっていました。


「両親は不仲に見える……

 心を覗ける魔法って、あるの?」

 アミーナがたずねると、精霊アリーは答えて、

「それは趣味が悪いですし。姫様が消えますよ」

 そう冗談めかして、姫をいさめました。


 王であるウマルは、去年

 こんな話をアミーナにしました。

「ヒバは、大事な話し相手だからな」

 でも、アミーナには父の言う意味が

 わかりませんでした。

「……母さまは、私の話をわかってくれない」

 ポロッと出てしまったアミーナの声は、少し震えていました。


「私も、姫様を理解できているかは、わかりませんよ」

 アリーのかけた言葉に、姫は

「ん……そう言うな」

と答えました。

 アリーの言葉に、姫は

 少しだけ救われた気がするのでした。



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