『Deus Ex FairyTales/白亜の妖精』

ナナハ

プロローグ


――淑女淑男の皆さま、ようこそ!

本日お届けするのは、剣の街の片隅で紡がれたもうひとつの御伽噺。


舞台は、シンデレラが“人魚姫”との戦いを終え、

まだリハビリの痛みに耐えていた頃。

その陰で、別の物語がひっそりと産声を上げていたのです。


登場するは、かつて「深海の魔女」と呼ばれた女――スキュラ。

そして、月明かりに照らされ現れた一人の女性。

陶器のように白い肌、冷たく輝く義肢を持つその姿は、

まるで神が彫り上げた彫像のごとき美しさ。


彼女の名は、ガラテア。

異名は――《白亜の妖精》。


その傍らには、彼女を導く青年、マリオ。

愛と矛盾を抱えながら、彼もまた舞台に立つ役者の一人。


さあ、ご覧あれ。

これは人魚姫の幕が降りた後、

波止場の月明かりから始まった、もうひとつの悲喜劇。


――どうぞ最後まで、拍手を忘れずに。

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